1.イミュニティ試験の目的と概要

イミュニティ試験とは何か、その目的と概要に関して記載します。

イミュニティ試験は、放送波や他の電子機器が発生する電磁波の影響を想定した耐電磁放射試験や耐伝導性試験および電源周波数磁界暴露試験と、自然現象を想定した静電気(ESD)雷サージおよび他の電子装置が発生するファーストトランジェント/バースト試験などの、電磁過度現象に耐える能力を持っているかを確認するトランジェント系試験に分類できる。この試験は、IEC規格にIEC61000-4 シリーズとして規定されている。

豆知識<EMC試験とイミュニティ試験>

SC77B(高周波のEMC現象に関する規格を作成)では、静電気放電、放射無線周波電磁界、電気的過渡現象/バースト、サージ等の妨害波に対する機器のイミュニティ(耐性)値を規定しているが、それを試験するための手法も詳細に規定している。

CISPR(エミッション測定に関して)、SC77Bでは、測定(measurement)と試験(test)という二つの用語を使用している。

試験とは、被験者または試料の能力や性質を測定するために行う行為と定義されており、EUTの能力や性質を測定することが特徴である。
そのため、EUTのイミュニティ値に対して、EUTが誤動作するかどうかを判定するイミュニティ規格(EMS規格)でイミュニティ試験が一般的に使用されている。

このように、イミュニティ規格値とその試験法が、EMCの規格と規制では重要である。

また、EMC測定・試験法はEMC基本規格で規定されている。
イミュニティ試験(EMS試験)は、TC/SC77で作成されたEMC基本規格、IEC61000シリーズで規定されている。

EMC製品規格で規定された製品固有の規格値と試験法としては、マルチメディア機器、家電製品、電気自動車、医療機器等の製品に対するEMC規格が、EMC製品規格で規定されている。
EMC製品規格におけるイミュニティ試験(EMS試験)は基本規格に準拠しているが、製品固有の測定・試験法はEMC製品規格で規定されている。

EUTを試験した時に、EMC規制をクリアできない場合は、原因を解明するとともに対策を実施する。

2.イミュニティ試験の種類と項目、判定基準

表1に、代表的なイミュニティ試験規格番号とその概略試験内容を示す。

表1.代表的なイミュニティ試験方法
表1.代表的なイミュニティ試験方法

EMI試験が明確に限度値が設けられているのに対し、イミュニティ試験では試験電圧の他に機器が耐える条件が別途定められている。耐電磁放射試験や耐伝導性試験のように一定の状態の電磁界を印加する試験の場合、試験条件は比較的緩いが通常動作が求められる。

一方、ファーストトランジェント/バーストなどのトランジェント系試験では、厳しい試験電圧が要求されるが、試験時の一時的な性能低下が認められている。

なお、EMI試験とイミュニティ試験は、年々改訂され見直しが進んでおり、上述の試験方法以外の試験規格も増加する傾向にある。
EMI試験に関しては「EMI試験とは」に記載している。

3.イミュニティの規格

イミュニティの規格に関しては「EMC規格・規制」をご覧下さい。

4.関連書籍