ここでは、シールド材を用いたノイズ対策(シールディング)の基礎を掲載。樹脂やアルミなどの材料や原理にも触れていきます。

1.電磁波シールドと磁気シールドによるノイズ対策

金属板のシールド効果は次式で表すことができる。

S=A+R+M(dB)
A:吸収損失(dB) 金属内伝播による減衰
R:反射損失(dB) 金属表面と空気との反射損失
M:多重反射損失(dB) 金属板両面の反復反射による損失

一般に、磁界における波動インピーダンスは低いので、シールド面における反射損失は小さい。従ってシールド効果を上げるためには、透磁率の高い材料を用い吸収損失を大きくする方法がとられる。

図1.シールド材例
図1.シールド材例

一方、電界における波動インピーダンスは高いので、導電率の高い材料を用いることにより反射損失を大きくし、シールド効果を上げる方法が取られる。低周波領域での磁気シールド効果は、シールド材の透磁率と厚さで決まるため、高透磁率金属材料が用いられる。

パーマロイは透磁率が高く、残留磁気が低いという特性を持つので、微小磁界のシールド材として用いられている。
また、シールド材としてアモルファス磁性材料も多く用いられている。

2.シールド材の重要性

近年のコンピュータ、周辺機器はデジタル信号の処理過程で広帯域のノイズを発生させるため、法的規制の対象となり、こうした分野においてもノイズ対策としての電磁シールドは重要な技術となっている。

一方これらの機器は小型軽量化、低価格化のために筐体をプラスチックにする傾向があり、プラスチックの導電化の技術が必要とされている。

現在の方法は亜鉛溶射や導電性塗装の塗布等のコーティングによるものが主流である。また、ガラス繊維で強化したプラスチックにカーボン系の材料を混合させた導電コンパウンドも使用され、シールド用成形材料として実用されている。

図2.塗料タイプのシールド材
図2.塗料タイプのシールド材

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