EMI除去フィルタ(ノイズ除去フィルタ)によるノイズ対策

ここではEMIフィルタの原理や、EMIフィルタの選定に役立つ情報を掲載します。

1.EMI除去フィルタの概要

機器からの発生ノイズ、あるいは機器への侵入ノイズはコモンモード、ディファレンシャルモード(ノーマルモード)、で伝搬する。

機器からの発生ノイズの抑制、配電線路の伝搬ノイズの減衰、機器への侵入ノイズの阻止などのため、ノイズフィルタは配電線路や機器の電源部に使われたり、機器の内部回路の対策箇所に組み込まれたりする。
このため、実用化されているノイズフィルタは、外観構造、形状寸法、回路構成、素子および定数等さまざまである。

図1.EMI除去フィルタ例 図1.EMI除去フィルタ例

こうしたノイズフィルタ使用体系からみると、機器内の電源部の1次、2次間を境にして、電源ライン用と信号ライン用とに便宜上分けることはできる。

2.電源ライン用と信号ライン用

電源ライン用として、下記のような分け方をしている。

  • ① ファシリティ用(設備)
  • ② コードコネクテッドタイプ(コード付きテーブルタップ)
  • ③ ダイレクトプラグインタイプ(アダプタ)
  • ④ アプライアンスタイプ(機器組込み)

一方、信号ライン用については、分類を定義した公的資料は特にないが、便宜上下記のように分類できる。

  • ① 貫通タイプ(シールドケース用)
  • ② オンボードタイプ(プリント基板用)

3.コモンモードとディファレンシャルモード(ノーマルモード)

コモンモードとは2本線路とグラウンドから成る信号伝送形における代表的な独立モードの組のひとつの成分で、ディファレンシャルモード(ノーマルモード)と組を成している。2本の線路を流れる電流のうち、同相の電流成分を発生させる励振形態のモードをいう。不平衡(unbalanced)モードともいう。この成分による放射成分は、同相であるコモンモード電流による電界成分のベクトル和は加算される結果となるので、エミッション(EMI)として大きな問題となる。回路基板においては、グラウンド面を流れ、グラウンド面に接続されたI/Oケーブル等のグラウンドを励振するソースとなり、このときの放射をコモンモード放射という。

ディファレンシャルモード(ノーマルモード)は2本線路とグラウンドから成る信号伝送形における代表的な独立モードの組のひとつの成分で、コモンモードと組になっているモード成分である。2本の線路を流れる電流のうち、逆相なる励振形態のモードをいう。平衡(balanced)モード、ノーマル(nomal)モードともいう。逆相電流成分による放射エミッションのベクトル和は打ち消す合うように働くので、ディファレンシャルモード電流による放射レベルはコモンモード電流成分によるものと比較すると非常に小さい。

4.コモンモードフィルタ

信号周波数が高くなり、ノイズの周波数領域と接近してくると、チップビーズや3端子フィルタで信号とノイズを切り分けることが困難になってきます。このような場合にはコモンモードフィルタが有効です。
コモンモードノイズだけを除去し、ディファレンシャルモード(ノーマルモード)の信号、つまり伝送すべき信号はそのまま通過させるノイズ対策部品(EMC対策部品)です。コモンモードフィルタは同じ方向に巻かれた2個のコイルで構成されています。各巻き線のインダクタンスはほぼ同じ量で、結合係数は1に近くなるように設計されています。

ディファレンシャルモード(ノーマルモード)の電流が巻き線に流れると、一方のラインともう一方のラインに流れる電流の向きが逆になり、コア内に発生する磁束も逆になってお互いに打ち消し合います。コモンモード電流は2つの巻き線に同じ向きに流れるので、コア内に発生する磁束は同じ向きになり強め合います。つまりコモンモード電流に対しては大きなインピーダンスを示し、電流の流れを食い止めます。ディファレンシャルモード(ノーマルモード)の電流に対しては小さなインピーダンスとなるので、電流の流れを邪魔しないように働きます。

このように、EMIフィルタの原理は構成され、選定方法、使用方法は様々な要因が考慮されます。

5.3端子フィルタ

コンデンサやインダクタを使っても十分にノイズを除去できない場合は、3端子フィルタの出番です。
入力端子、出力端子、グランド端子の3端子があるので、3端子フィルタと呼ばれています。

図2.三端子フィルタ例 図2.三端子フィルタ例

コンデンサとインダクタを内部で組み合わせた高次のLCフィルタで、大きな減衰特性が得られます。インダクタは高周波で高インピーダンスになってノイズを反射し、コンデンサは高周波で低インピーダンスとなってノイズをグランドに逃がします。したがってノイズ対策(EMC対策)効果を十分に引き出すには、安定したグランドが存在し、それを接続するグランドパターンのインピーダンスをできるだけ下げることが重要です。

Chapter.9