プラスチック太陽電池の発電機構を解明 ~オフセットが小さくても光電変換効率が高い理由を分析~

2022.04.01更新
プラスチック太陽電池の発電機構を解明


 京都大学 大学院工学研究科 玉井 康成 助教、大北 英生 同教授、夏田 慎一朗 同修士課程学生(研究当時)らの研究グループは、半導体ポリマーと非フラーレン型電子アクセプター(NFA)を用いた有機薄膜太陽電池(OSC)の発電メカニズムを明らかにしました。

 従来のOSCでは半導体ポリマーとフラーレン誘導体とのエネルギー準位差(オフセット)を駆動力として光電変換していました。その一方で、近年ではNFAを用いることにより、オフセットが小さくても光電変換できるOSCの作製が可能になっています。しかし、その機構については十分に理解されていませんでした。

 本研究により、NFAを用いたOSCの光電変換機構は従来系とは異なり、半導体ポリマーとNFAとの相分離界面近傍に形成されるエネルギー準位勾配を駆動力として光電変換していることを明らかにしました。これらの知見は、OSCのさらなる効率向上をもたらすと期待されます。

 本成果は、2022年2月22日(現地時刻)に英国の国際学術誌「Energy & Environmental Science」にオンライン掲載されます。


本研究は、科学研究費助成事業(基盤B「電子ドナー/アクセプター界面における究極的に「無駄」の無い電荷分離の実現(21H02012)」および学術変革領域研究「ドナー/アクセプター界面における動的エキシトンの高速電荷分離メカニズムの解明(21H05394)」)、JST 戦略的創造研究推進事業(さきがけ研究領域「計測技術と高度情報処理の融合によるインテリジェント計測・解析手法の開発と応用」)の助成を受けて実施されました。

<プレスリリース資料>

<論文タイトル>

  • ““Cascaded energy landscape as a key driver for slow yet efficient charge separation with small energy offset in organic solar cells”;
  • DOI:10.1039/d1ee03565g


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