食べられるデータの埋め込みを実現

フード3Dプリンターで食品内部に2次元コードなど


~地球環境問題の解決に向けた触媒開発を加速する強力な新技術を獲得~(JST)

2022.10.28更新

<ポイント>

  • フード3Dプリンターを用いて、食品内部に特殊なパターンを形成することで、食べられるデータの埋め込みを実現
  • これまで、食品自体の見かけを変えることなくデータを埋め込み、またそれを読み出すことはできなかったが、フード3Dプリンターと内部を透過撮影する技術とを組み合わせることで可能にした
  • 食品のDX(Digital Transformation)により、食品トレーサビリティー拡充による食の安全性向上や、拡張現実感と組み合わせた新たな食体験の開拓に期待

大阪大学 大学院基礎工学研究科の佐藤 宏介 教授らの研究グループ(宮武 大和さん(博士前期課程 卒業生)、Parinya Punpongsanon(パリンヤ・プンポンサノン) 助教、岩井 大輔 准教授)は、フード3Dプリンターを用いて食品の内部に特殊なパターンを形成することで、食べられるデータの埋め込みを世界で初めて実現しました。埋め込まれたデータはそのままでは人の目には見えないため、背面から光を照射してデータを食品表面に浮かび上がらせ、それをカメラで撮影する透過撮影技術を用いて読み出します。

 これまで食品に付加するデータは、包装などに印字されることが一般的で、食品自体に、その見かけを変えず、さらに食べられることを保証しつつデータを埋め込むことは実現されていませんでした。

今回、佐藤 教授らの研究グループは、フード3Dプリンターを用いて、食品内部の食材の充填パターンで2次元コードやARマーカーなどの空間コードを表現することにより、見かけを変えず食べられるデータ埋め込みが可能であることを実証しました。また、背面照射された食品をカメラで撮影する透過撮影技術を用いることで、埋め込まれたデータを読み出すことも実証しました。これにより、食品そのもののDXが可能となり、食品トレーサビリティー拡充による食の安全性向上や、拡張現実感と組み合わせた新たな食体験の開拓が期待されます。

本研究成果は、2022年10月29日(土)〜11月2日(水)にアメリカ合衆国オレゴン州ベンドにて開催されるACM Symposium on User Interface Software and Technology(UIST)にて口頭発表されます。なお、成果内容については、口頭発表にあたり事前の査読を経ています。

 本研究は、JST 戦略的創造研究推進事業ACT-X(課題番号:JPMJAX20AK)、科研費 学術変革領域研究(A)計画研究(課題番号:20H05958)の支援を受けて実施されました。


<プレスリリース資料>

本文 PDF(1MB)

<論文タイトル>

“interiqr: Unobtrusive Edible Tags using Food 3D Printing”


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