1.電波暗室とは何か

電波暗室とは、外部からの電磁波の影響を受けず、外部にも電磁波を漏らさない様な金属板の部屋(シールドルーム)に、電磁波が内部で反射しない様に電波吸収体を張り付けた実験・試験設備です。無線機器やアンテナの実験や電子機器のノイズ試験・測定用(EMI測定・EMS試験)に用いられます。

電波暗室の例
電波暗室の例

2.電波暗室の概要と測定距離(3m法/10m法)

EMCの測定は屋外のオープンサイト(OATS:Open Area Test Site)で行われていましたが、屋外の測定は天候や、周囲からの電波の影響を受けやすくまた、電波法の制限を受けるなど十分な試験ができないため、電波暗室が用いられるようになりました。EMI測定には測定距離が10m(10m法)のものと、3m(3m法)のものが利用されます。電波吸収体を四方の壁と天井の五面に張り付けた電波半無響室(SAC:Semi Anechoic Chanber)と壁、天井、床の六面に張り付けた全電波無響室(FAR:Fully Anechoic Chanber)があります。

電波吸収体は、おもに抵抗性吸収材料(導電性繊維等)、誘電性吸収材料(カーボンゴム、カーボン含有発泡体)、磁性吸収材料(フェライト焼結体)の三種類がありますがEMC試験用電波暗室では、フェライト(磁性吸収材料)と誘電性吸収材料を組み合わせたものが用いられており、広帯域での精度の高い測定に対応しています。

3.電波暗室の評価と性能

電波暗室が測定に適しているかどうか、正規化サイトアッテネーション(NSA:Normalized Site Attenuation)特性やSVSWR(Site Voltage Standing Wave Rtio)法で評価します。国際規格(CISPR16-1-4)で、NSA特性の評価は30MHz~1GHz以下の周波数について、SVSWA法はGHz帯域の周波数について定められています。NSA特性は電波暗室内に送信アンテナと受信アンテナを配置し送信アンテナから電波を送り、この電波を受信アンテナで測定し、アンテナ間の損失を求めます。この際、受信アンテナは1m~4mの範囲で変化させ、最大の電界強度を取得します。

NSA特性
NSA特性

そして、送信アンテナの位置を変え、測定エリアの特性を評価します。
規格では、標準のオープンサイトでの減衰量を基準値として、その基準値との偏差を±4dB以内としています。

NSA特性:測定エリアの評価
NSA特性:測定エリアの評価

SVSWR法は、床面にも電波吸収体を設置して電波暗室内6面を無反射とした状態で、評価を行う方法です。円柱状のテストボリュームを想定し、送信アンテナの基準位置を図のようにF6、C6、L6、R6とします。L6、R6はL1、R1から40cm の位置。送受信アンテナの高さは、テストボリュームの下面から1mもしくはテストボリュームの中間、Fの位置ではテストボリュームの上面の高さとする。送信アンテナを基準位置から2㎝、10㎝、18㎝、30㎝、40㎝遠ざけた位置に設置した時の受信強度の偏差を水平偏波/垂直偏波それぞれについてもとめます。

送信アンテナから放射された電波は、壁面等から反射した電波と干渉を生じ、送信アンテナ位置を変化させた時に受信アンテナでは、受信レベルの変化が得られます。CISPR16-1-4規格ではこの最大値と最小値の差が6dB未満であることを適合サイトに対して要求しています。

SVSWR法
SVSWR法

4.電波暗室の重要性

現在、IOT、5Gなど無線通信技術を利用したサービスが急速に広まっています。これらは、我々の生活を便利にする反面、不要な電波も多く出ることになり、身の回りで電磁波による不具合の発生が高まることが予想されます。このような新しい技術、不具合へ対応するために、電波暗室の高性能が進み、需要も高まっています。

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