UPS:Uninterruptible Power Supplyの略

1.UPS(無停電電源装置)の必要性

現代社会ではインターネット、電子マネー、ATM等私たちの生活は24時間365日情報システムに支えられている。これらのシステムが電源異常によって停止した場合、莫大な損失が発生するため、堅牢な電源システムを構築することが重要となる。

電力会社から供給される商用電源は、自然災害(雷サージ、地震、火事など)や事故などの影響によって、電圧変動や停電等の電源異常を避けることができない。そのため情報システムが商用電源に直接接続されている場合、電源異常によるシステムの誤作動や故障のおそれがある。こうした電源異常から情報システム等の負荷機器を守るために使われるのがUPSである。

2.UPSの構成

UPSは電力を安定させる電力変換装置(整流器、インバータ等)と、停電時に電力を供給するバッテリーによって構成され、電源異常が発生したときでも安定した電力を供給する役割を担う。

▽ UPSの給電方式
UPSの給電方式は大きく「常時インバータ給電」と「常時商用給電」に区分けされる。
常時インバータ給電方式(図1)は商用電源を整流器によって、交流(AC)から直流(DC)に変換し、バッテリーを常に充電しながら、インバータによって直流から交流に再変換することで、常に安定した電力を供給する。これにより商用電源に電源異常がある場合でも、インバータによって常に正常な電源供給が維持される。また、停電時はバッテリーの直流電源をインバータにより交流に変換し安定した電力を供給し続ける。
この方式では、電力変換装置に故障が発生した場合、バイパス回路に切り替わり、商用電源を負荷機器に給電し続ける。
図1:電源異常の種類と常時インバータ給電方式のUPS構成
図1:電源異常の種類と常時インバータ給電方式のUPS構成

常時商用給電方式(図2)は3kVA以下の小容量UPSで主に採用されている。通常時は商用電源を負荷先へ給電し、電源異常が発生した場合はバッテリーからインバータを介した給電に切り替えることによって、安定した電力を供給する。但し、通常時は商用電源を直送するため、商用電源側の給電品質が負荷に影響を及ぼし、常時インバータ給電方式よりも給電品質が劣る。一方で整流器とインバータによる変換ロスがない分、効率が良い。

また、常時商用給電方式に自動電圧調整器AVR(automatic voltage regulator)機能を追加することで、商用電源の電圧変動を補償するものは、ラインインタラクティブ方式という。

これらの給電方式は負荷機器の要求仕様に合わせて選定する必要がある。

図2:常時商用給電方式のUPS構成
図2:常時商用給電方式のUPS構成
▽ バッテリーの停電補償目的
UPSは、主に、停電発生時に非常用発電機に切り替わるまでの40秒程度の間、または負荷機器を正常にシャットダウンするまでの間の給電を維持するために使用される。この場合のUPSのバッテリーの保持時間は10分以下であることが多い。一方で、非常用発電機が設置されていない負荷機器をバッテリーでできるだけ長く給電することを目的とする場合には、バッテリーを増設することで数十分から数時間の保持時間とすることもある。

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3.UPSの容量帯別の特徴

UPSは容量帯毎に使われ方が異なり、下表のような区分けになる。

表1:容量別の特徴
小容量帯
~20kVA
中容量帯
~300kVA
大容量帯
300kVA~
主な導入場所
(用途)
  • オフィス
  • 店舗(POS)
  • 防災、セキュリティシステム
  • クリニック
  • 放送局
  • 金融電算センター
  • 工場
  • 病院
  • データセンター
  • 金融電算センター
UPSの設置場所
  • オフィス
  • サーバー室
  • 装置組込(~1kVA)
  • 電力室
主に採用される給電方式
  • 常時インバータ給電方式
  • 常時商用給電方式(~3kVA)
  • ラインインタラクティブ方式(~3kVA)
常時インバータ給電方式
停電補償目的
(バッテリー保持時間)
  • 発電機への切替え(~10分)
  • 負荷システムの自動シャットダウン(~10分)
  • 発電機未設置による負荷機器の最長利用(~180分)
  • 発電機への切替え(~10分)
  • 負荷システムの停止(~30分)
  • 発電機への切替え(~10分)

4.UPSの技術動向

これまでUPSは電力変換装置(整流器、インバータ)の根幹技術である半導体の進化により、小形化、高効率化、高信頼化してきた。

昨今はUPSと組み合わせるバッテリーの変化もみられる。これまでは鉛バッテリーが広く用いられているが、リチウムイオンバッテリーを使用したUPSが出てきている。リチウムイオンバッテリーは鉛バッテリーと比較して高エネルギー密度のため、省スペース、軽量化が実現され、更に長寿命という特徴がある。一方で内部に含まれる電解液が可燃物であり、消防法上の危険物扱いになるため、設置を検討するにあたり各種法令の制限を受ける可能性がある。

(著)株式会社NTTファシリティーズ