EMC最新動向2019-業界の主要機関がEMCの最新動向を語る特別企画-
新年、明けましておめでとうございます。平成三十一年の年頭にあたり、ご挨拶申し上げます。
今日、モバイルシフトやIoT技術の普及が製品安全に影響を及ぼし始めています。これらの技術・社会状況の変化に適切に対応しつつ、製品安全を文化として根付かせていくことがより一層重要になってきております。経済産業省としては、消費者や事業者皆様の協力をいただきながら、引き続き製品安全行政を積極的に推進してまいります。
第一に、消費生活用製品安全法等の製品安全関連法の執行を適切に実施してまいります。技術基準を満たした安全な製品が供給されるよう、市場監視に努めると共に、事業者の皆様に引き続き法令遵守や製品安全の取組について協力をお願いしてまいります。
また、「重大製品事故報告・公表制度」 による重大製品事故の情報収集・公表、原因究明調査も着実に実施してまいります。調査結果は、消費者の皆様への注意喚起や事業者の皆様のより安全な製品開発に活用いただいております。また、製品の経年劣化事故を防止するための石油給湯機等9品目を対象とした「長期使用製品安全点検制度」は、今年、制度創設後10年目を迎え、同制度開始後に購入された機器の法定点検が本格化しております。引き続き、法定点検の着実な実施を推進していくと共に、同制度に基づく所有者登録率の向上、制度定着に向けた取組を進めてまいります。
第二に、時流の変化や要請に対応した製品安全に係る規制体系の見直しを検討してまいります。特に、インターネット上で取引される製品安全関連法違反製品の件数は増加の一途を辿っております。昨年7月、インターネット市場を通じて取引の増加している海外事業者等に対する製品安全関連法の適用について、「電子商取引及び情報財取引等に関する準則」 において整理されました。インターネットモール事業者との連絡会合を引き続き開き、安全対策の連携協力を進める等の取り組みを行ってまいります。また近年、リチウムイオンバッテリー機器等の発火事故が増えております。これを踏まえ、昨年2月に通達を改正し、モバイルバッテリーを電気用品安全法の対象としました。加えて、PC・スマホやIoT製品における製品安全の確保のあり方について検討を進めてまいります。その他、欧米・中国・アジア諸国等の規制機関との連携の強化に取り組むと共に、公的規格の採用、国際規格との整合を図り、新技術・新製品に迅速に対応可能な規制体系の構築に努めてまいります。
さらに、製品起因と判断された重大製品事故の約半数がリコール中の製品による事故であり、リコール制度の実効性改善に向けた検討を進め、リコールハンドブックへの反映等を実施してまいります。
第三に、製品安全に関する周知の更なる強化に努めてまいります。我が国では高齢化社会が一層進展し、65歳以上の人口が消費者としても大きな割合を占めるようになりつつあります。高齢者の行動ビッグデータを活用し、より安全な製品・サービス開発に繋げる試み等、事業者・消費者等との連携・協力を進めてまいります。近年、家電等の製品のサプライチェーン複雑化に伴い、発注者が気がつかないうちに使用部材の材質等が切り替えられる事例(サイレントチェンジ)による事故も見られており、事業者への周知及び自主点検の加速等の対応要請を徹底してまいります。また、製品安全確保のために日々真摯に取り組んでいる企業を表彰する製品安全優良企業表彰 (PSアワード) も13年目を迎えます。こうした企業の取組が社会に還元されることで、消費者に安心感を与え、信頼を醸成します。そして、製品安全への取組を 「コスト」 ではなく 「投資」 だとご認識頂けるよう、事業者の皆様からの情報発信の在り方を検討してまいりたいと思います。
本年も製品安全行政の推進、製品安全文化の醸成に絶え間ない努力を続けてまいります。引き続き皆様のより一層のご理解とご協力を賜りますよう、お願い申し上げ、新年の御挨拶とさせていただきます。