EMC最新動向2019-業界の主要機関がEMCの最新動向を語る特別企画-

日本医療機器工業会(JAMDI) 安全部会 EMC・安全委員会委員長
平野 知

新年明けましておめでとうございます。

(一社) 日本医療機器工業会は、(一社) 日本医療機器産業連合会に加盟する団体で、主に治療用・施設用関連機器を扱う136 社の企業及び4 つの団体から構成される団体です。治療用機器には手術室で使用される機器(電気メスなど)をはじめ、人工呼吸器や麻酔器など生命に対してクリティカルな機器も含まれるためEMC 問題には特に注意しなければなりません。

(一社) 日本医療機器工業会と致しましては、(一社) 日本医療機器産業連合会EMC 分科会へ委員派遣を行い、医療機器の様々なEMC の課題に対して情報共有、当工業会としての意見具申などの活動を行っております。

以下、業界の状況と協力体制について記します。

1.JIS T 0601-1-2 の改正作業

国内の規制で用いられるEMC 規格の改正が昨年行われました。この規格は、IEC 60601-1-2:2014 をJIS 化したJIS T 0601-1-2:2018 規格で、昨年3 月1 日付けで改正が行われ、同時に、厚生労働省より改正通知( 薬生機審発 0301 第 1 号 医療機器の電磁両立性に関する日本工業規格の改正の取扱いについて)が発出されました。この内容としては、新たに製造販売される機器について対象となり、新規格への移行期間(経過措置期間)は5 年間となっています。従って、2023 年3 月1 日以降に該当する製品を製造販売される企業は、一部の除外項目( 通知2(. 3)及び 3(. 3)) を除いて新規格への適合が必要となります。

2.IEC 60601-1-2 の改正作業

国際的に見ると、欧州及び米国では本年1 月1 日からIEC 60601-1-2:2014 の強制化が開始されました。IEC 国際委員会では、既にIEC 60601-1-2:2014 の次版amendment1 作成審議が進められておりますが、審議項目が難航し、現状2020 年の発行予定となっています。

検討中のトピックスとしては、

・新規追加試験である低周波磁界イミュニティ試験要求内容

・電磁妨害に関する基礎安全及び基本性能に対するリスクマネジメントに関するAnnex F の記述

などがあります。

これらについては、難解な部分が多くあるため日本からもコメントを提出し分かり易くする対応を取っています。

3.CISPR 規格の改正審議協力

IEC 60601-1-2( JIS T 0601-1-2) において、引用される規格に、CISPR 11 があります。

本規格は、医療機器で水平に展開される規格として全ての医療機器が適用する規格となりますが、現時点での大きなポイントは、in-situ における測定というポイントになります。

日本からも医療機器企業から国際会議への派遣を行い、改正における問題点が発生しないように慎重に審議を進めています。

4.総務省事業への協力

医療機器に関する総務省の事業には以下の事業がありそれぞれに( 一社) 日本医療機器産業連合会から委員派遣を行っております。

(1) 医療機関における電波利用推進委員会

(2) 漏えい電波からの無線設備保護に向けた技術的条件に関する調査検討会

(2) では、高周波利用設備に対する実態調査と技術基準の見直しの必要性について検討を実施しており、3 月に3 年目のまとめを行う予定です。

いずれの事業についても、医療現場での適切な電波利用という観点から重要な活動と捉え、情報共有など協力体制をとっております。

最後に

私達医療機器を扱う企業は、日々EMC の課題に対して情報を収集すると共に、急速に進むICT 化の現状を把握しながら、常に安全・安心の医療機器を医療現場へ提供することを主眼に置き活動を続けて参ります。