EMC最新動向2019-業界の主要機関がEMCの最新動向を語る特別企画-
みなさま、新年明けましておめでとうございます。
本年もよろしくお願いいたします。2015年10月よりACEC委員に就任し、おかげさまをもちまして3年以上が経ちました。ACEC委員の第1期任期は2018年9月をもって終了し、2期目も無事承認されましたことより、あと約3年間ACEC委員を務めさせていただくことになりました。引き続き何卒ご指導の程よろしくお願い申し上げます。
ACECは、TC77、SC77A/B/C、CISPR及び分科会H及びIの各委員会委員長あるいは幹事、SMB (標準管理評議会) 任命の委員、及びEMCに関連するTC/SC (TC13、TC22、TC46、TC61、TC62、SC65A、TC69、TC120、SC121A) の委員長あるいは幹事などで構成されており、EMC 問題に対するIEC 活動への助言、指導および調整を行うSMB傘下の諮問委員会であります (ゲストとして、ITU-T SG5、CISPR/A、TC106等の代表が参加することもあり)。Face-to-faceで行うACEC国際会議は年2回開催されており、昨年度は2018年4月にフランス・サンドニ (パリ)、10月に韓国・釜山で開催されました。またFace-to-faceの会議の合間に2回、2018年1月及びに7月に“on line”会議が開催されました。ここでは、1月On line会議、4月サンドニ会議、7月On line会議、及び10月釜山会議の結果を簡単に紹介し、ACEC会議の現在の主要な活動内容を紹介いたします。
[On line会議:2018年1月17日]
1.電磁両立性に関係するIEC審議文書のレビュー
TC77、CISPR及び各TCの規格がGuide 107に従って作られているかどうかを保証することを目的として、CDVを対象に行う。
[サンドニ会議:2018年4月11日~12日]
1.2 kHz~150 kHzの伝導エミッションについて
SC77Aより、2 kHz~150 kHzの両立性レベルに関し、IEC 61000-2-2 Am1 (2 kHz~30 kHz) は2017年6月に国際規格化、またIEC 61000-2-2 Am2 (30 kHz~150 kHz) は2018年3月にCDVが可決したことが報告された。またこれら両立性レベルの合意における次のステップの、許容値レベル検討におけるSC/HとSC77Aの共同作業部会 (JWG) 立ち上げの提案は可決した。ドイツのDeter氏 (SC77A) がコンビナ、Lavenu氏 (SC/H) が副コンビナとなった。
2.IEC 61000-4-5 Ed.3について
ITU-T SG5 WP2より、IEC SC77B、IEC ACEC及びCISPRに対し、IEC 61000-4-5第3版に規定されているサージジェネレータの問題に関する連絡文書 (リエゾンステートメント) が送付された。
[On line会議:2018年7月16日]
1.ACECメンバ
Emmanuel DeJaegerを次回釜山会議で副議長に任命するという正式決定をおこなう。
[釜山会議:2018年10月27日~28日]
1.ACECメンバ
TC8 (電力供給に関するシステムアスペクト) 及びTC9 (鉄道電気設備) のACECメンバへの参加がSMBで承認されたので、次回以降の会議で出席の予定。
2.ウェアラブルデバイス
CISPRより、TC124 (ウェアラブルデバイス) のスコープにEMCの側面がある可能性があるので、ACECは注意してほしいというリクエストがあった。
3.IEC 61000-6-8
CISPR/Hより、商業及び軽工業環境を独立させたエミッション共通規格であるIEC 61000-6-8については、NPが発行されている旨報告があった。
4.2~150 kHzにおけるディファレンシャルモード非意図的エミッションの許容値
TC13より、2~150 kHzにおけるディファレンシャルモード非意図的エミッションの許容値の迅速な導入を望んでおり、また共通エミッション規格IEC 61000-6-3/-4だけでなく、CISPR製品規格においても、このような許容値の実施を期待しており、ACECの取り組みを評価するという意見があった。
5.WPTにおけるDC接触充電
TC69より、WPTにおけるDC接触充電に関し、車両へのDC CPTポートの伝導エミッション許容値に起因するいくつかの問題があり、IEC 61851-21-2の現在のエミッション許容値は、車両の無線受信を保護するのに十分ではなく、またIEC 61851-21-2のエミッション許容値は余りにも厳しすぎるので、メンテナンスを行う旨報告があった。
6.EMF Guide
TC106より、2018完成に向け作業を継続している旨報告があった。また現時点のドラフトについて、技術的記述が多すぎる、normative要求条件についてGuide107はnormativeセクションがあるが技術的要件は無いのでGuide EMFもそれに従って修正すべきである、GuideではEMF許容値は作れないにもかかわらず許容値の取り扱いの混乱があるなどのコメントがあった。またGuide EMFに含めるべき項目についても説明があった。
7.次回会合の日程について
次回ACECは、2019年6月10日~11日、多賀城市 (東北学院大学) にて開催される。また次々回ACEC会合は、2019年9月7日~8日、スペイン・バルセロナにて開催予定である。