EMC最新動向2019-業界の主要機関がEMCの最新動向を語る特別企画-

一般財団法人 日本品質保証機構(JQA)
梶原 英樹

新年を迎え謹んでお慶びを申し上げます。

一般財団法人 日本品質保証機構 (JQA) は2018年10月に創立61周年を迎えました。1957年に財団法人 日本機械金属検査協会として設立してから61年、皆様のご支援により今日に至っております。これらJQAの活動はひとえに皆様のご支援の賜物であり、心より感謝申し上げます。

JQAは、 “これからのEMC” のテーマとして、以下について記載します。

1.船級規格について

2.電波法の高周波利用設備の規則について

1.船級規格について

本来船級規格は、国際電気標準会議 (IEC) で「無線信号の受信を妨害するノイズの排除するための要件」に対応することを目的として、試験方法等が検討され、IEC60533 (旧IEC533) として制定した。また、海上遭難及び安全システムの導入とIMO (国際海事機関) 総会決議を受け舶用航海機器のエミッションとイミュニティ試験の方法を規定したIEC60945 (旧 IEC 945) が制定された。

更に各国の船級規格では、IACS (国際船級連合) で規定したEMC試験方法を基に、一部試験方法に変更を加えて採用している。日本においても、NK (日本海事協会) がIACSで制定したEMC試験に関連する規則を基に、国内基準として採用している。

これらから、船舶に関する各国のEMC試験は、IEC、CISPR (国際無線障害特別委員会) 、IACSによって制定されたEMC試験に関連する規則を各国が採用していると考えられる。

各国の船級の認証制度の動向として、EMC試験所に対して、ISO/IEC 17025に基づくマネジメントシステムを満たすことを要求する認証機関が増える傾向にある。その背景としては、船級の認証機関が試験所の能力を厳しく見ることになった事による。

また、ISO/IEC 17025に基づき認定された試験所においては、認証機関が立会試験の一部を免除することもある。これは、船級認証を希望する依頼者のコスト面において低減となっている。

2.電波法の高周波利用設備の規則について

電波法における高周波利用設備では、総務大臣の許可が必要となるものは、通信設備 (電波法第100条第1項第1号) と通信設備以外の設備 (電波法第100条第1項第2号) に大別することが出来ます。

通信設備としては、電力線搬送通信設備 (PLCなど)、誘導式通信設備 (列車無線など)、誘導式読み書き通信設備 (電子タグなど) がある。通信設備以外の設備としては、医療用設備 (高周波エネルギーを医療のために使用するもの)、工業用加熱設備 (高周波エネルギーを利用して工業生産に使用するもの)、各種設備 (高周波エネルギーを直接負荷に与え又は加熱や電離に使用するもの) が対象となっています。

高周波利用設備に含まれる通信設備以外の設備では、高周波出力50Wを超える無線設備に、技術基準に基づく個別設置許可が必要となります。高周波出力が50W以下の無線設備には、現時点で設置許可が不要となっているものの、運用の見直しの為の検討も進められている。これは、電波法が制定されたのが1950年 (昭和25年) であり、当時では存在していなかった多種・多様な高周波利用設備が普及・拡大していることによるもの。

今後、規定の対象でなかった無線設備においても、他の無線設備等へ干渉を与える可能性がある設備には、新たな規制が制定される可能性があると考えます。

JQAは試験・認証機関パイオニアとして、常にお客さまのニーズにお応えし、お客さまの事業に役立つサービスを提供する努力を続けてまいります。

本年もどうぞよろしくお願い申し上げます。