EMC最新動向2019-業界の主要機関がEMCの最新動向を語る特別企画-

一般財団法人 VCCI協会
小田 明

2019年の新春を迎え、謹んでお慶び申し上げます。

本年、VCCI協会は、一般財団法人に移行して11年目を迎えます。前身の情報処理装置等電波障害自主規制協議会 (略称VCCI) の発足 (1985年) 以来、情報技術装置の妨害波による障害を抑止し、電子・電気機器を利用する我が国消費者の利益を擁護していくことを目的として活動して参りました。国際規格CISPRに準拠したVCCI技術基準やVCCIマークが広く社会的に認知されていますのも、ひとえに関係官庁・団体ならびに会員各位のご支援、ご協力の賜物であり、厚く御礼申し上げます。

VCCI協会の自主規制の活動は、設立当初より、測定設備の登録制度、会員による適切な適合性評価、公正な市場抜取試験の3つを柱とした運営を継続しております。この運営の柱の一つである市場抜取試験の実施結果は、不適合率が年平均数%で推移しており、これもひとえに会員の皆様の真摯なご対応が、VCCIマークの信頼性を維持しているものと考え、深く感謝申し上げます。

マルチメディア機器のエミッション国際規格であるCISPR 32第2版が2015年3月に発行され、国内では総務省の情報通信審議会より2015年12月に答申が行われました。マルチメディア機器のエミッション規格 (CISPR 32) は、情報技術装置とAV機器に対して個々に規定されていた規格を統合する形で発行されました。VCCI協会では、この新しい国際規格に準拠した新VCCI技術基準を含む自主規制措置運用規程を、2016年11月に発行し、運用を開始しております。新運用規程と旧運用規程との併用期間は、2019年3月で終了しますが、会員の皆様におかれましては、新規程への移行を着実に進められているものと存じます。

例年、国内各地の工業技術センタ等でのセミナ開催による啓発・教育活動に加え、海外の工業会、認定機関との意見交換も定期的に開催し国際的な協調を図ってまいりました。特に昨年は、旧規程と新規程との併用期間中でもあることから、中国上海で新規程の普及・啓発を目的としたワークショプを開催し多くの方々に参加いただくとともに、近隣の試験所を訪問し、市場抜取試験に関する意見交換を実施しました。

また、昨年10月には、世界最大級のCPS/IoT ExhibitionであるCEATEC JAPAN 2018に出展し、VCCI協会の活動を広くPRするとともに、併設カンファレンスの一つとしてVCCI国際フォーラムを開催し、多くの方々にご参加いただきました。この国際フォーラムでは、EU、中国、南アフリカから講演者を招聘し、各国の最新規制状況について発表いただきました。

今後も国内外の関係各位のご協力を得ながら、無線の活用が前提となるCPS/IoT等の技術革新とその社会実装動向に適切に対処することによって、CPS/IoT社会の基盤であるクリーンな電波環境の形成に貢献し、VCCI協会の活動が会員の皆様、ひいては我が国消費者にとって意義あるものとなるよう取り組んでまいります。

関係官庁をはじめとする関係各位には、当協会への引き続いてのご理解・ご支援を賜りますとともに、2019年が日本の社会・経済にとって飛躍の年になることを願い、新年のご挨拶とさせていただきます。