EMC最新動向2019-業界の主要機関がEMCの最新動向を語る特別企画-

総務省 総合通信基盤局 電波部 移動通信課長
荻原 直彦

謹んで新春のお慶びを申し上げます。

グローバル市場において、ICT機器の普及やIoT等の社会実装が急速に進展する中、我が国では、最先端のICTをあらゆる産業や生活分野に取り入れ、経済成長と課題解決を図る 「Society 5.0」 の実現に取り組んでいます。

第5世代移動通信システム (5G) は、このSociety 5.0を実現する上で不可欠なインフラとして大きな期待が寄せられています。

スマートフォン等の普及を背景として移動通信トラヒックが急増する中、総務省では、従来より様々な電波利用ニーズに的確に対応するため、電波の割当の見直しなどによる所要の周波数の確保や、より周波数利用効率の高い通信技術の導入等を推進しておりますが、今後ますます加速するニーズの高度化・多様化に適切に対応していくため、その切り札として、現在、5Gを2020年に実現するべく関係機関と連携して取り組んでいます。

5Gは、我が国が抱える様々な社会課題を解決し、地域活性化の起爆剤となる新しい社会インフラとして期待されています。本稿では、5Gの実現に向けた政策動向の一端を紹介いたします。

第5世代移動通信システム (5G) に係る技術基準策定の取組

「第5世代移動通信システムの技術的条件」 は、平成28年10月より情報通信審議会新世代モバイル通信システム委員会 (委員長 森川 博之 東京大学教授) において検討が開始され、平成30年7月に情報通信審議会より一部答申を頂きました。

5Gは、Sub6と呼ばれる6GHz以下の周波数帯の3.7GHz帯、4.5GHz帯に加え、28GHz帯のミリ波周波数帯への導入が予定されており、同委員会では、これらの周波数帯における技術的条件をとりまとめていただきました。

総務省では、当該技術的条件を基に5Gの導入に係る省令等の改正案を作成し、同年12月に電波監理審議会に諮問し答申を頂きました。改正省令については、平成31年1月下旬頃の施行を予定しています。

5Gの周波数割当に関する取組

また、上述の情報通信審議会の一部答申を受け、2020年までに5Gを実現することを目指して、本年3月末頃に5G用周波数 (3.7GHz帯及び4.5GHz帯:100MHz幅×6枠、28GHz帯:400MHz幅×4枠) の割当てを行うこととしています。

5Gは、都市部のみならず地方も含めた我が国全体の成長のエンジンとして、社会の様々な場面での利活用に加え、地方が抱える課題の解決や地方創生に寄与するものとして強く期待されています。

そのため、総務省では、5G導入のための開設指針において、「全国への展開可能性の確保」、「地方での早期サービス開始」、「サービスの多様性の確保」 を評価指標として盛り込んだところです。

引き続き、5Gのインフラが早期に整備されるよう、周波数割当てに向けた取組を進めてまいります。

5Gに係る総合実証・アイデアコンテストの取組

5Gは、スマートフォンのような従来型の端末をベースとしたサービスだけでなく、IoTや自動車、産業機器、スマートメータといった様々な異分野のシステムとの組み合わせによる新しい市場の創出に期待が寄せられています。

総務省においては、多様な分野での5Gの有用性を確かめるため、平成29年度から3年計画で、医療・救急、防災、建設等の様々な利活用分野の関係者が参加する5Gの総合的な実証試験を実施しています。

平成30年度は新たな技術的目標を定め、昨年度より多くの企業や地方自治体等と連携して実証を実施しているほか、他のICTシステムと組み合わせて酒造産業への適用を試みるなど、地場産業の興隆を念頭に置いた取組も実施しているところです。

また、平成31年度 (最終年度) には「地方が抱える様々な課題の総合的な解決」に力点を置いた5Gの総合実証を実施するため、「5G利活用アイデアコンテスト」を開催し、昨年12月に地方予選を実施したところです。この1月にコンテスト本選を実施し、地方発の発想による優秀な利活用アイデアについては、平成31年度の5G総合実証のテーマに採用する予定です。

日常生活や社会経済活動で当たり前のように電波が利用されるようになった現在、5Gをはじめ新たな無線システムの導入の可否やその条件の設定等に関する技術的検討は、今後一層、複雑かつ難しいものとなることが考えられます。同様に、無線通信機器のみならず電子機器の多様化・高度化も進展しており、電磁両立性 (EMC) の重要性も従来以上に高まっていくものと考えられます。

CTは社会経済活動の基盤であり、経済の持続的成長の鍵となる重要な戦略分野です。ICTの利活用による新産業創出、我が国の様々な社会的・経済的課題の解決、さらにはICT分野における国際競争力の向上のため、情報通信機器やその部品のベンダーの皆様のご支援とご協力をお願いいたします。

この分野の貴重な情報を提供する本誌のさらなる発展と電波利用の高度化、EMCの向上に日々尽力されている皆様方のますますのご健勝とご活躍を祈念いたしまして、新年の挨拶とさせていただきます。