EMC最新動向2019-業界の主要機関がEMCの最新動向を語る特別企画-

一般社団法人 日本医療機器産業連合会
技術委員会EMC分科会 主査
田中 一啓

みなさま、新年あけましておめでとうございます。

はじめに、一般社団法人 日本医療機器産業連合会 (医機連) は、保健・医療用の用具、機器、器材、用品等の開発、生産、流通に携わる事業者団体の参加のもと、各団体の共通問題についての調査・研究を行い、公正な意見をとりまとめて、その対策を講じ、日本や世界に優れた医療機器テクノロジーを提供することを目的としております。また、もって国民の健康福祉の向上に寄与することを目的としております。

技術委員会EMC分科会は、医用電気機器のEMCに関する諸問題を扱う分科会です。最新情報の把握、事業者団体への周知及び、基準化、標準化への提言等を推進する活動を行っています。

医機連EMC分科会の主な活動

昨年は、前年に引き続き、医用電気機器の最新EMC規格 (IEC 60601-1:Ed4.0のJIS化及びIEC 60601-1:Ed4.0+Amd1審議等) につきまして、国際委員会等審議状況の加盟団体への周知、及び、審議委員会への提言等の活動を行ってまいりました。

また、総務省からの委託により設置された、平成29年度 「電波の医療機器等への影響に関する調査の有識者会議」 に参加いたしました。ここでは、在宅医療機器へ及ぼす電波影響の調査及び植込み型心臓ペースメーカ等への影響調査に関し提言等を行ってまいりました。本調査の結果は、「電波の植込み型医療機器及び在宅医療機器等への影響に関する調査等報告書」としてまとめられ、昨年9月に公開されております。引き続き、平成30年度の上記有識者会議にも参加し、提言等の活動を行っていきます。

一方で、電波環境協議会に設置されております 「医療機関における電波利用推進部会」 にも参加し、「医療機関において安心・安全に電波を利用するための手引き」 普及に向け加盟団体の意見集約、提言等を行っております。

医用電気機器のEMC規格の動向

・ JISに関しましては、2014年2月25日発行のIEC 60601-1-2:Ed.4.0と一致したJIS規格が、平成30年3月、JIS T 0601-1-2:2018として発効されました。「医薬品、医療機器等の品質、有効性及び安全性の確保に関する法律」 の基本要件基準への適合性確認の考え方や、移行期間等の考え方に関しては、厚労省より 「医療機器の電磁両立性に関する日本工業規格の改正の取り扱いについて (薬生機審発0301第1号)」が出されました。

・ 国際規格IEC 60601-1-2に関しましては、2014年版であるEd4.0のさらなる改正版Ed4.1の国際審議が進められており、2019年中に国際規格発行の予定となっております。

医用電気機器に関するEMCの今後

・ JIS T 0606-1-2:2018が発効されたこともあり、国内では、より安全な医療機器が必要とされていると理解できます。このため、医機連EMC分科会としては、適合に向けて、規格や具体的な適合方法の解釈等、加盟団体を通じて関連企業等への最新情報提供等を行い、規格への的確な適合に寄与できる活動を進めていきます。

・ 携帯電話・RFID・ワイヤレス充電器等からの、医療機器への影響や、その評価方法も国際的に議論されています。これらの情報提供も行っていきたいと考えます。

・ その他、関連法規制等も変化の機運があります。情報収集、提言等の活動を行っていくことによって、国民福祉の向上と医療機器産業の発展に貢献できるように活動を推進してまいりますので、引き続きご支援、ご協力の程よろしくお願いいたします。