EMC最新動向2019-業界の主要機関がEMCの最新動向を語る特別企画-

IEC/TC106 高周波国内委員会 委員長
国立研究開発法人情報通信研究機構(NICT)
渡辺 聡一

新年あけましておめでとうございます。

当委員会では、IEC/TC106 (人体ばく露に関する電界、磁界、及び電磁界の評価方法) における高周波領域 (おおむね100 kHz以上) の標準化を担当しております。本稿では、例年同様、本委員会が担当している標準化活動状況について紹介させていただきます。

MT1 (メンテナンスチーム1) では、2018年7月に62209-2 (人体側頭部以外使用の携帯無線端末SAR測定法) の修正案のCDV文書が根拠資料とともに回付され、2018年10月に承認されており、2019年始めにFDISが回付される見込みです。さらに、MT1が所掌する62209-1と62209-2との統合作業が進められ、2017年にIEEEとのdual-logoの規格策定のためのJoint WG (JWG13) が新たに設置されました。2018年12月に統合版規格のCDVが承認されております。順調にいけば、2019年後半に発行される見込みです。MT1にはNTTドコモの大西氏とNICTの浜田氏・長岡氏が、JWG13にはNTTドコモの大西氏とNICTの長岡氏がそれぞれエキスパートとして参加しております。

PT62209-3では、ベクトル測定に基づく比吸収率の高速測定方法を策定しており、2018年1月に公開仕様書 (PAS63151) が発行されました。その後、PAS63151に基づいて作成されたCDVが2018年10月に承認されましたが、我が国としては測定手法の信頼性が十分に検証されていないことから反対投票をしております。同プロジェクトチームにはNTTドコモの大西氏とNICTの浜田氏・長岡氏がエキスパートとして参加しております。

PT62704では、IEEEと共同で、数値計算による無線通信機器のSAR計算法についてのdual-logo規格の策定が進められております。これまでに62704-1 (FDTD法計算の一般事項)、62704-2 (FDTD法計算による車載アンテナ評価方法) 、62704-3 (FDTD法計算による携帯電話評価方法) が2017年に発行されております。62704-4 (有限要素法計算の一般事項) についても、2018年12月にCDVが回付されております。PT 62704-1標準化には大西氏とNICTの浜田氏・長岡氏がエキスパートとして参加しております。

MT3においては、62232 (携帯電話基地局からの電磁界評価方法) の改訂第2版が2017年に発行されており、現在は5Gシステム等も含む評価事例技術資料 (TR 62669) の改定作業を進めており、2018年12月にDTRが回付されております。MT3に対しては、高周波委員会配下の基地局WG (主任:小林岳彦 東京電機大教授) のもとで国内意見を集約し、NTTドコモの井山氏 (~2018年3月) ・東山氏・大西氏 (2018年4月~) と浜田氏がエキスパートとして参加し、我が国の意見の反映に努めております。

5Gシステム等のミリ波帯からの電波ばく露量の評価については、AHG10における我が国のエキスパート (NTTドコモの大西氏とNICTの佐々木氏) 等の積極的な関与により、2018年8月に技術報告書 (TR63170) が発行されました。現在、AHG10は廃止され、IEEEとのJWGにおいて、ミリ波帯の電力密度評価のdual-logo規格策定が進められております。JWG11では計算方法を対象とし、JWG12では測定方法を対象としております。2018年12月に測定方法のCDが回付されており、2021年の発行が予定されています。JWG12にはNTTドコモの大西氏が共同コンビナーに就任し、NICTの佐々木氏、トヨタ自動車の野島氏、マイクロウェーブファクトリーの櫻井氏がエキスパートとして参加し、我が国の意見の反映に努めております。また、JWG11にはNTTドコモの大西氏とNICTの佐々木氏がエキスパートとして参加しております。引き続き、高周波委員会配下の電力密度評価法 (旧5G) WG (主任:NTTドコモ大西氏) のもとで国内意見を集約し、国際エキスパートを通じて当該国際規格の策定に積極的に貢献していく所存です。

関連の国際標準の動向として、IEC/TC106とリエゾンを結んでいるITU-T/SG5においても、人体防護に関する勧告の策定作業が進められております。ITUとIECではリエゾンを介して連携を図っており、日本からも、国内規制との整合の観点から意見を提出しております。

本年もひきつづいてのご指導・ご支援をお願い申し上げ,新年のご挨拶とさせていただきます。