1.熱抵抗とは

熱抵抗とは文字通り熱の移動に対する抵抗です。熱の流れ(温度、伝熱量、熱 抵抗)を電気の流れ(電位、電流、抵抗)と類似した形式で扱います。熱抵抗の単位は [K/W]あるいは[℃/W].K(ケルビン)は絶対温度を表し熱力学的に決められた単位でSIでの表現です。Kと℃は温度目盛りの間隔が等しいので熱抵抗を考える場合どちらの単位を用いても数値は変わりません。図1のような発熱するLSIのジャンクションから環境(まわりを流れる空気など)までの熱抵抗は、

となります。

図1 熱抵抗

ただし、
Rja:ジャンクション→環境間の熱抵抗[K/W]or[℃/W]
Tj:ジャンクション温度[℃]
Ta:環境温度[℃]
Q:LSIの発熱量[W]
です。ここでは熱抵抗を表す記号としてR(Resistanceの頭)を用いています。また、空冷の場合の添字aはambientです。



2.熱抵抗の計算

熱抵抗の計算に関して例を交えて記載します。例えば、図1のパッケージで、5W発熱するLSIを30℃の空気で冷却し、ジャンクション温度を100℃以下に保たなければならない場合を考えましょう。すると、

の計算によりジャンクションから空気まで14[℃/W]以下の熱抵抗が必要であることが分かります。発熱するチップはパッケージで包まれ、パッケージは基板に実装され、場合によってはパッケージにヒートシンク(冷却フィン)が取り付けられています。パッケージやヒートシンク熱設計の目標はこのような計算から導かれる熱抵抗の実現であるといえます。

3.熱抵抗の分解

熱抵抗Rjaを以下のように分解することがあります。

図2 熱抵抗の分割

ただし、添字j、c、aはジャンクション、ケース(パッケージ表面)、環境を表 します。

現実にはパッケージ表面温度は一様ではないためTcの決定は難しく、測定位置によってRjc、Rcaは変化します。放熱の経路で確定しているのは熱の発生部(ジャンクション)と環境のみで、その間の経路はひとつに特定できません (図2)。熱抵抗は一次元の熱の流れに対する概念ですから、連続体への適用に際してこのような不都合が発生してしまいます。両者の和Rjaは冷却条件が等しければ一定であり、Rjaを熱特性データとして用いるほうが良いことになります。

Rjcという表現は実務的でありますが、発熱量が大きいLSIの場合には危険が伴います。一般に高い発熱量のものを扱う場合、熱抵抗値のずれが温度に与える影響が大きくなるため注意深くなるほうがよいのです。過大な冷却は安全ではありますがコストや機器のサイズに良くない影響を及ぼしますし、冷却能力が不足すると機器の信頼性に関わります。



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