車載向けマイコンのEMC設計と対策事例(月刊EMC)

2017.12.13 更新
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当社は、エアコンやキーレスなどのボディ用途、グラフィック表示が可能なクラスタ用途、エンジンやHVモータ制御のパワートレイン用途向けに16/32ビットマイコンを開発している。次世代の自動車システムは、低燃費、安全対策がより進化していくため、機能安全対応や新たな車載ネットワークの導入(CAN FD等)によってマイコン処理性能は今後も向上する。

すでに次世代に向けたマイコンの開発を行っているが、EMC設計についても継続的に取り組んでいる。今回、当社の車載向けマイコンにおけるEMC設計とEMC評価、具体的な対策事例について述べる。


1.まえがき

2013年に、富士通のマイコン・アナログ事業部門がスパンションへ事業譲渡されたが、富士通時代より車載向けマイコンの設計・開発を行っておリ、スパンションとなった以降もこれまでと変わらず、車載向けマイコンの設計・開発を行っている。車載向けマイコンのラインナップとしては、エアコン機器、ボディー機器向けマイコン、ダッシュボード制御/メータ制御などに適したクラスタ向けマイコン、EV/HEV制御に適した電源制御用マイコン、シングル/デュアルモータ制御に適したモータマイコンなど多くのマイコンを取り揃えており、全世界の自動車メーカーに採用されて、多くの車両に搭載されている。

これらのマイコンはECU(Electronic Control Unit)と呼ばれる電子装置に搭載される。ECUの例としては、Abstract 当社は、エアコンやキーレスなどのボディ用途、グラフィック表示が可能なクラスタ用途、エンジンやHVモータ制御のパワートレイン用途向けに16/32ビットマイコンを開発している。次世代の自動車システムは、低燃費、安全対策がより進化していくため、機能安全対応や新たな車載ネットワークの導入(CAN FD等)によってマイコン処理性能は今後も向上する。

すでに次世代に向けたマイコンの開発を行っているが、EMC設計についても継続的に取り組んでいる。今回、当社の車載向けマイコンにおけるEMC設計とEMC評価、具体的な対策事例について述べる。車の速度やエンジンの回転数などを表示するメータ制御ECU、センサからの情報を基に常に車内を快適な温度に保つ機能を有するオートエアコン制御ECU、アクセルセンサからの情報を基に車の速度、加速度を制御するエンジン/モータ制御ECUなどがある。

これらのECUはLIN、CAN、FlexRayといった車載ネットワークにより情報を共有して、連携して動作する。ECUに伝わる情報は電気信号で行われるが、この電気信号には正常な信号だけではなくハーネスを経由してECUを誤動作させる可能性があるノイズも伝達することがある(ノイズの伝達は様々な要因があり、ネットワークは一例である)。これらのECUに搭載されているマイコンも外部からノイズが印加されることで誤動作の要因になるが、マイコン自身がノイズの発生源となる場合もある。

当社はマイコンのEMC対策を富士通時代より積極的に行っており、現在、次世代の自動車システムに向けて、制御基板を含めたノイズ対策を提案している。また、標準化されたマイコンのEMC評価環境も整っている。今回はマイコンのEMC設計とEMC評価環境、電波照射における具体的な事象とその対策について紹介する。

続きは『月刊EMC No.330 』にて

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