光トランシーバのノイズ影響と対策(月刊EMC)

2018.2.7 更新
光トランシーバのノイズ影響と対策(月刊EMC)

【光トランシーバ機能ブロック図】

ここでは、光トランシーバの概要について簡単に説明した後、光トランシーバに求められる EMI 要求について説明する。次に、光トランシーバで行っている具体的な放射電磁ノイズ(EMI)対策を述べ、光トランシーバで問題となったクロストークの対策について述べる。



光トランシーバとは

 光通信網では光ファイバを通して、様々な支線や幹線から集積通信装置に光信号が送られる。例えば、Access 系から光ファイバを通して集線装置と呼ばれる光ルータ/スイッチ(以下、ネットワーク機器)に信号が送られると、ここで信号の多重化が行われ、長距離幹線系へ送信が行われる。また は、他の経路(例えば、Enterprise への経路)に光信号が割り当てられ送信される。光トランシーバ
は、この光通信網の中でネットワーク機器内に用いられ、光ファイバからの光信号を電気信号に変換し
ネットワーク機器内に電気信号を伝送させる機能と、ネットワーク機器からの電気信号を光信号に変換
し光通信網に伝送させる機能を持つ、いわゆる光電変換モジュールの役割を果たしている。

 光トランシーバに入ってきた光信号は、光受信モジュールにて電気信号に変換される。その後、電気信号は、FPC(Flexible Printed ircuit board)やPCB(Printed Circuit Board)を伝送し信号処理 IC を経てネットワーク機器へと伝送される。また、ネットワーク機器からの電気信号は信号処理 IC・レーザ駆動 IC を伝送し光送信モジュールより光信号として出力される。ここから分かるように光トランシーバ の殆どの機能は、電気信号の伝送のために用いられているため、放射電磁ノイズ源として振る舞う。また、外部からの電磁ノイズの影響を受ける恐れもある。

 現在では、FPC や PCB を伝送する電気信号は、10Gbit/s 以上となっており、PCB や FPC には広帯域で低損失な信号伝送が要求されていると共に、光トランシーバからの放射電磁ノイズを抑制する周波数は 1G ~ 40GHz(FCC Part 15 要求)となっている。これほどの高速伝送が必要となった経緯には、インターネットの普及によるユーザの増大や動画などのリッチコンテンツの普及、スマートフォンユーザー増加によるトラフィック量の増大が挙げられる。

続きは『月刊EMC No.303』にて



【月刊EMC No.303 目次情報】

<特集>
◇企業内博士のEMC 設計・手法
 -EMC領域での学位取得と開発技術への応用、展開-
・多層基板の電源供給系における不要電磁界の発生メカニズムとその解析
 (日本電気(株) 原田高志)
・有線広帯域通信の相互干渉とその解析
 (NTT環境エネルギー研究所 秋山佳春)

<Technology>
・光トランシーバのノイズ影響と対策
 (住友電気工業(株) 大森寛康)
・パワーエレクトロニクスにおける低インダクタンス化とEMC
 (首都大学東京 和田圭二)
・船舶用無線通信機におけるEMC
 (フルノ・ラボテック・インターナショナル(株) 石井義弘)
・民生機器と車載機器のエミッション規格と測定方法の比較
 ((一社)KEC 関西電子工業振興センター 正岡賢治)

<規格・規制情報>
・鉄道システム全体から外界への照射 IEC 62236-2
 ((公財)鉄道総合技術研究所 川﨑邦広)
・韓国KCs 自律安全確認申告概要
 ((株)コスモス・コーポレイション 世古浩子)

<実践講座>
・電源回路のサージ対策2 :
 情報機器電源のサージ対策(IEC 60950-1)
 (三菱マテリアル(株) 田中芳幸)
・標準研究所におけるループアンテナの校正手法と国際整合性
 ((独)産業技術総合研究所 石居正典)

<インフォメーション>
・2013 年6 月に評価書公表か
・医用機器分野のEMC にビジネスチャンス

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