コグニティブ無線・ホワイトスペース通信の有効利用(月刊EMC)

2018.3.19 更新
コグニティブ無線・ホワイトスペース通信の有効利用(月刊EMC)

【コグニティブ無線技術の概要】

 現在、携帯電話の利用者数は一億人を超え、さらにその利用者は人のみならず、センサ、メータ、モニタ等に代表されるものにも拡大し、ますますその利用者数は増えるものと考えられる。また、今後、標準化される通信システムは基本的に現在よりブロードバンドであり、利用者あたり必要となる周波数帯域幅もますます増大する。しかし、伝搬特性が優れており、ブロードバンドアクセスにとって使い勝手のよい 6GHz 以下の帯域(VHF、UHF、低マイクロ波帯)については、携帯電話をはじめとして 極めて稠密に利用されており(全無線局の 99% 以上)、深刻な電波の逼迫状況が生じている。そこで増大する利用者に対する周波数の確保の方法について検討をする必要性がある。

 この周波数確保のための一つの方策がコグニティブ無線技術である。このコグニティブ無線技術を用いることにより、無線機は各周波数帯において、他のシステムに干渉を与えない限り、他システムと周波数を共用して利用することが可能になる。本稿では、コグニティブ無線技術の概要を解説するとともに、コグニティブ無線技術の代表的な利用例である周波数共用型コグニティブ無線技術(ホワイトスペース無線通信技術)の解説を行う。次にこのホワイトスペース無線通信技術を用いた通信システム、いわゆるホワイトスペース無線通信システムのシステム概要、技術課題、標準化動向、開発動向について述べる。



コグニティブ無線技術

 通常周波数は用途別に周波数割り当てられている。しかし、未割り当てのため、または、割り当てられていてもその地域では実際利用されていない、もしくは空間的な、時間的な原因により電波が届いていない、いわゆる「空き周波数」に見える周波数がある。このような周波数利用状況のなかで、利用者が所望のブロードバンドの通信が実現できる周波数帯域を確保する方策を検討する必要性がある。コグニティブ無線技術とは無線機が周囲の電波環境を認識し、その状況に応じて、周波数帯域、タイムスロット等の無線リソースを適宜利用することにより、利用者が所望の通信容量を所望の通信品質で周波数の有効利用をはかりつつ伝送を行う無線通信技術である。このコグニティブ無線技術には以下に示す二つのものが検討されている。

続きは『月刊EMC No.333』にて

【月刊EMC No.333 目次情報】

<特集>
◇これからのEMC~省庁・工業会・学会EMCの動向が視える~
・総務省 総合通信基盤局 電波部 電波環境課長
 杉野勲 氏
・経済産業省 商務流通保安グループ 製品安全課 電気用品専門職
 長澤英里 氏
・国土交通省 道路局 道路交通管理課 ITS推進室 課長補佐
 中尾吉宏 氏
・一般社団法人 電波産業会・電磁環境委員会 委員長
 北海道大学名誉教授
 野島俊雄 氏
・公益財団法人 鉄道総合技術研究所 会長
 一般社団法人 国際標準化協議会 会長
 正田英介 氏
・スマートグリッドとEMC 調査専門委員会委員長
 電磁環境工学情報EMC 編集顧問
 東京都市大学名誉教授
 徳田正満 氏



※本記事は2016年1月のものです。所属等変更がある場合もございます。

<Technology>
・コグニティブ無線・ホワイトスペース通信の有効利用
 (京都大学大学院 原田博司)
・三次元積層SiPとパワーインテグリティ設計
 (芝浦工業大学 須藤俊夫)
・スイッチングアシストによる次世代MOSFET電力変換器の高効率化
 (静岡大学 野口季彦)

<規格・規制情報>
・IEC61000-4-31 CDV 概要解説
 (㈱東陽テクニカ 中村哲也)

<実践講座>
・NLFを含めたCEマーキング対応(EMC指令以外に必要となる他の指令)の展開および手続きを進めるには
 (グローバル・テクノマネジメント 平戸昌利)

<インフォメーション>
・英国情報通信長 無線LANの電波 干渉原因を調査 日本国内はどうなる
・アメリカ放射線監視システム 電磁波障害で一部機能せず
・これからの電波規制 IoTで変わる
・高度化するEMC要求
・ロボットの電波利用拡大へ向け 共用検討進む

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