HEMPの脅威とそのセキュリティ技術とは(CEND)

2018.4.26 更新
HEMPの脅威とそのセキュリティ技術とは(CEND)

【日本国内でE1(Early time HEMP)が観測される可能性のある高高度爆発の範囲】

少し前から日本のメディアが取り上げだした『HEMP』。
HEMPという脅威は一体何なのか、そしてその対策は?

HEMPを単純に和訳すれば「高高度電磁波パルス攻撃」である。
この言葉を聞いてピンとくる人間が、日本に一体どれほどいるだろうか。

HEMPとは、高高度で核爆発が起こった際に生じる電磁パルスによる主に電子機器への攻撃である。
この攻撃は現代における人間社会では非常に高い脅威となり、決定的な威力を誇るのだ。

具体的にその脅威を語るとすれば、【あらゆる電子機器が使用不能に陥る】ことを意味する。
科学情報出版(株)の「電磁波セキュリティ~21世紀の社会インフラを電磁波攻撃から守るには~」では以下のように記されている。

①電力システム
②通信システム
③銀行・金融システム
④石油・ガスシステム
⑤交通システム

これだけの機能が全くの機能不全に陥る可能性があるということだ。
しかも実際にHEMP攻撃が行われた場合、その影響は1,000kmの範囲に及ぶことが予想される。
右図に「日本国内でE1( Early time HEMP) が観測される可能性のある高高度爆発の範囲」を示す。
図を見てわかる通り、ほぼ日本全域に多大な影響が及ぼされるということだ。

海外では様々な核保有国があるが、HEMPに関して最も研究が進んでいると言われているのが核大国であるアメリカだ。
アメリカでは以前よりHEMPや、核攻撃によらないEMP攻撃に関する研究を進めている。
そのアメリカが、HEMPが実行された場合の被害状況を試算したデータがある。
死傷者は数百万人、被害額は数兆ドル、復旧までに数年を要する、という驚がくのシミュレーションである。

核爆発という核による脅威だけでなく、その副産物として生まれる電磁パルスによってこれだけの被害が予想されているのである。

近年の近隣諸国の変化によって、日本もこの研究を進めている。
実際にHEMPによる脅威に対して、どのような対策を講じることができるのか、どのような防護が可能なのか。
今後の日本の技術発展に期待したい。

前述の科学情報出版(株)発行の「電磁波セキュリティ~21世紀の社会インフラを電磁波攻撃から守るには~」では、本分野における日本の第一人者達が、具体的な各製品での対策方法などを明記した日本初の書籍である。
当該書籍のよれば、既に電力システムや一般的な機器では、IEC TC77 SC77B で、試験法がまとめられ、対策基準をIEC規格で示しているそうだ。
この他にも、関連する規格の解説やイミュニティ試験方法、電磁波シールドや建屋の具体的な防護方法なども記載されている、正に成書だ。

我が国日本の防衛はもちろんこと、各企業の方々にはこの書籍を大いにご活用いただき、HEMPという脅威への対策を講じて頂きたい。


(参考文献)
『電磁波セキュリティ~21世紀の社会インフラを電磁波攻撃から守るには~』
◇ https://www.it-book.co.jp/books/085.html


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