【IEC 60601-1-2】医用電気機器 IEC 60601-1-2 対応のための製品安全とリスクマネジメント(月刊EMC)

2018.5.11 更新
【IEC 60601-1-2】医用電気機器 IEC 60601-1-2 対応のための製品安全とリスクマネジメント(月刊EMC)

【基本性能の特定イメージ】

 IEC 60601-1-2 第 4 版(以下 第 4 版という)が発行、2015 年秋には EN 版も発行され、医療機器指令での採用が見え始めてきた。

 第 2.1 版あるいは 3 版からの全般的な変更点については、本誌 2014 年 4 月 No.312 の拙稿をご笑覧いただきたい。また各種団体等でのセミナーが実施されており、EMC 試験要求については周知されつつあるが、リスクマネジメント等の製造業者が試験実施前に実施しなければならない事項について、まだ理解が広がっていない状況のようだ。第 4 版は規格名から「EMC」の文字が消え、安全要求事項のうち「電磁妨害」(Electro Magnetic disturbances)の側面を扱う安全規格の位置づけとなったことで、以前にも増して IEC 60601-1:2005,A1:2012 (以下 通則という)と密接な規格となった。

 また ME 機器の個別規格(以下 個別規格という)及び第 4 版以外の副通則にも EMC に関する要求及び記載が含まれているものがあるので、それらの要求事項も適用する必要がある。

 本稿では、第 4 版での試験以外の通則と関連するリスクマネジメント及びその他の要求事項を取りあげる。そのため一部内容は前稿と類似する部分もあるが、ご容赦いただきたい。尚、本稿中に記載する和文は、規格原文の参考和訳あるいは JISの文言であり、疑義の有る場合は国際規格原文を参照されたい。


「基本性能」とは?

 第4版の規格名は「医用電気機器 - 第 1-2 部 : 基礎安全及び基本性能に関する一般要求事項 - 副通則 :電磁妨害 - 要求事項及び試験」である。その中の基礎安全及び基本性能の用語は第4版を理解し、適用する上で極めて重要である。

「基礎安全」(通則の 3.10)
 ME 機器を正常状態及び単一故障状態で使用するとき、物理的ハザードに直接起因する受容できないリスクがないこと。

「基本性能」(通則の 3.27)
 基礎安全に関連する以外の臨床機能の性能において、製造業者の指定した限界を超えた欠如又は低下が生じたときに受容できないリスクが生じる性能。

 第4版においては特に「基本性能」が重要である。さらに個別規格で規定された基本性能は必須であり、個別規格が無い ME 機器は通則の用語の定義に従って特定することが必要である。

 また後述するリスク分析の主たる目的のひとつに「基本性能」の特定があるので,ここで触れておく。製造業者はリスク分析中に「基本性能」を特定しなければならない。

続きは『月刊EMC No.337』にて

【月刊EMC No.337 目次情報】

<巻頭>
・安心安全な先進的医療機関と電波利用とEMC

<特集>
◇マルチメディア機器のEMC
・マルチメディア機器における無線電力伝送(WPT)とEMC
 ((一財)VCCI協会 長部邦広)
・マルチメディア機器のエミッションに関わる将来課題
 (PFUテクノコンサル(株) 千代島敏夫)
・近傍放射電磁界イミュニティ試験法に関する知見
 (NTTネットワーク基盤技術研究所 奥川雄一郎、広島芳春、高谷和宏、秋山佳春)

<Technology>
・光トランシーバにおけるEMC設計
 (住友電気工業(株) 大森寛康)
・電子式電力量計の雷故障様相とその対策
 ((一財)電力中央研究所 浅川聡)
・ワイヤレスボディエリアネットワークにおける電波伝搬
 (東京電機大学 小林岳彦、広瀬幸)

<規格・規制情報>
・医用電気機器IEC 60601-1-2 対応のための製品安全とリスクマネジメント
 ((株)アイピーエス 山口哲志)
・自動車放射イミュニティレーダーパルスイミュニティ試験概要解説
 ((一社)KEC 関西電子工業振興センター 岡元裕則、峯松育弥)

<実践講座>
・新・回路レベルのEMC 設計 ⑰
 モード変換の表現可能な等価回路モデルを用いたノイズ解析
 (岡山大学 豊田啓孝)
・EMC測定・試験のポイント-今更、人に聞けないEMC用語解説 ⑤
 電磁妨害の結合路
 (東京大学 徳田正満)
・EMC測定・試験のポイント-今更、人に聞けないEMC用語解説 ⑥
 空間のインピーダンス
 ((株)NTT ドコモ 大西輝夫)

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