【測定系】
電子機器、特に携帯無線端末等の発展、普及に伴う小型化・高速化の要求に応えるため、電子回路・アンテナの高周波化、高密度化が進んでいる。これに伴い電磁環境設計の複雑化、困難さが増大している。ここで言う電磁環境設計は、EMI(エミッション)、イントラシステム EMC(自家中毒)の両対策を含む。
特に近年では、高密度化した電子回路とアンテナの実装位置関係で生じる相互干渉問題により、電子機器が所望の動作をしない、いわゆる自家中毒問題が頻繁に生じており、開発の困難さは深刻である。さらに通信方式の多様化に伴ったアンテナの複数実装もその要因の1つである。一方、開発環境としては、電磁界シミュレーション量の増大とコンピュータの高速化が相殺しており、結果として開発期間短縮とはなっていない。
また実験・測定環境は近傍磁界分布測定に多くを頼っているが、これは高密度実装された基板で必要な分解能を得るためには膨大な時間を要する。また測定結果から得られた情報を正確に読み取りその対策方法に関する知見を持ち合わせていなければ的確な対策が行えず、開発期間短縮が困難というのが現状である。今回この測定に関し、時間短縮および高分解能化を実現する電流源探査装置を開発したので紹介させて頂く。
現在多く利用されている近傍磁界分布測定装置は、図に示すように測定対象を XY 平面に設置し、その上方 h の距離にループアンテナを XZ 面またはYZ 面に設置し、これをプローブとして上空平面を走査し、誘起電圧の分布測定を行うものである。これは電流と磁界の関係から、X 方向電流の真上ではXZ 面の、Y 方向電流の真上では YZ 面のループアンテナが最大感度を得られるため、この誘起電圧分布の最大点付近にノイズ電流が存在すると想定したものである。
しかし一般的な電子回路の近傍磁界を測定する場合には、測定走査点毎に少なくともX 方向、Y 方向の2 方向の磁界成分を測定する必要があり、測定点数の2倍またはそれ以上のデータ取り込む必要がある。これは分解能を高めるために狭ピッチで測定すると膨大な時間を要することを意味する。
続きは『月刊EMC No.338』にて
<特集>
◇防災に強いスマート社会における雷害対策
・オフィスビル・重要施設における雷害対策と事例
((株)NTT ファシリティーズ 佐藤秀隆)
・電源システムにおける雷害対策と事例
((株)サンコーシヤ 山田康春)
・太陽光発電システムにおける雷害対策と事例
(音羽電機工業(株) 酒井志郎)
・通信・信号システムの雷防護とSPD の最新技術標準
((株)白山製作所 西澤滋)
・風力発電システムにおける雷害対策と事例
((株)昭電 垣内健介)
<Technology>
・在宅・車内ヘルスケアに活きる人体通信とEMC
(名古屋工業大学 王建青)
・電流源探査装置CSS-100 によるEMC、アンテナ設計
((株)アドバンコム 上坂晃一)
<実践講座>
・新・回路レベルのEMC 設計 ⑱
自動車システムにおける電磁界インターフェース設計技術
-アンテナからワイヤレス電力伝送、人体通信まで-
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・電磁気学的現象の利活用における地震予知研究⑥
-特に地震予知・防災における役割-
電磁気学的現象を用いた減災への試み
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・EMC測定・試験のポイント-今更、人に聞けないEMC用語解説 ⑦
デシベルとEMC 測定値
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<規格・規制情報>
・直流から150kHz までの伝導コモンモード妨害に対するイミュニティ試験改訂動向解説
((株)エヌエフ回路設計ブロック 平井順)
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