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【剥離強度試験用の試験片】
船舶の海難事故の種類別分析によると、「衝突」が事故全体に占める割合が最も高い。船舶同士の衝突事故を防止するため海上衝突防止法によって細やかな対策が規定されており、なかでも、近年の船舶自動識別装置（Automatic Identification System: AIS）の普及（大型船への設置義務化）は衝突回避に画期的な効果を上げている。AIS とは、船舶の識別符号、船名、種類、位置（GPS を利用）、針路、速力、目的地、航行状態等の安全に関する情報を VHF 帯電波で自動的に送受信し、船舶相互間および陸上局（海上交通管制施設等）との間で情報の交換を行うシステムである。
一方で、大型船（100 トン以上の船舶）と小型船（20 トン未満の船舶）の衝突事故は、年間およそ 100件程度発生している。これは、300トン未満の船舶には AIS の搭載が義務付けられていないことに起因すると考えられる。AIS は双方の船舶に搭載・運用されてこそ効果を発揮するシステムであり、導入コスト等の問題から小型船への AIS 普及が進んでいないことが問題である。これに対して、航海用レーダーは船舶双方に機器を搭載する必要がなく、大型船からの見張り作業において利用頻度の高い航海計器の一つである。
そこで、本研究では航海用レーダーのより効果的な運用を目的とし、小型船のレーダー反射率を向上させる手法を検討した。ここで、航海用レーダーとは、自船の周囲に電波（9.8GHz 帯が主）を発射し、他船や陸地からの反射波を受信してレーダー映像上にそれらの位置を表示する装置である。雨や霧あるいは夜間航行中等、視界が悪い状況でも自船周囲の物標の位置を検知できる。
船舶航行時における衝突事故の防止には航海用レーダーを使用した監視が有効であるが、小型船はそもそもレーダー観測対象として小さいことに加え、それらのほとんどはレーダー反射性の低いガラス繊維強化プラスチック（Glass Fiber Reinforced Plastics : GFRP）製である等、レーダー監視に不利な点が多い。このため、衝突事故防止のためには何らかの対策により小型船をレーダー上で捕捉しやすくすることが必要である。
レーダーの出力を増加させる等のレーダー側での対策は、コストの問題に加えて、有限なレーダー資源の有効活用や電磁環境両立性の点からも現実的ではない。こうした背景から国際的にも議論が行われ、大型船のレーダーによる小型船の捕捉が容易となるよう、小型船のレーダー反射率を高める措置を講ずることが国際規則となっている。
続きは『月刊EMC No.339』にて
＜特集＞
◇ESD/EOSの基本と実態・対策、耐性試験法
・マイクロギャップESDに伴うインパルス性ノイズの放射強度と電極接近スピード
（東北学院大学 川又憲）
・静電気放電イミュニティ試験を正しく実施するための実験的解説
（㈱ノイズ研究所 石田武志）
・最新電子機器で発生する非直撃的なEOS/ESD事象と対策
（㈱インパルス物理研究所 本田昌實）
・放電現象からみたシステムESD試験の基本的問題点について
（(一財)日本電子部品信頼性センター 田中政樹）
＜Technology＞
・MIMO方式を採用した船舶レーダの干渉対策
（日本無線㈱ 時枝幸伸）
・EMCを低減するベクトル合成を用いたワイヤレス給電法
（静岡理工科大学 郡武治）
・UPSの活用による電源ノイズ対策事例
（オムロン㈱ 林昭）
・導電性ペーストによる小型船舶のレーダー反射率向上
（国立研究法人 海上技術安全研究所 藤本、穴井、山根、村上、西崎、白石）
・ICチップの低消費電力化とオンチップノイズ低減化技術
（芝浦工業大学 宇佐美公良）
・医療環境における高速電力線搬送通信（PLC）の導入実験とEMC
（佐賀大学 花田英輔、東京医療保健大学 石田開）
＜実践講座＞
・ビル・工場における接地システム設計の知識 [Ⅰ]
（関東学院大学 高橋健彦）
・EMC測定・試験のポイント―今更、人に聞けないEMC用語解説
⑧同軸ケーブル （電気通信大学 名誉教授 上芳夫）
⑨平衡ケーブル （電気通信大学 名誉教授 上芳夫）
⑩伝送線路 （電気通信大学 名誉教授 上芳夫）
⑪スペクトラムアナライザ（ローデ・シュワルツ・ジャパン㈱ 吉本修）
＜規格・規制情報＞
・IEC61000-6-5第1版
発変電所環境イミュニティ共通規格改訂のポイント
（東北学院大学 石上忍）
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