【IEC 61000-4-9/10】磁界イミュニティ試験改訂ポイント解説(月刊EMC)

2018.6.6 更新
磁界イミュニティ試験改訂ポイント解説(月刊EMC)

【1m × 1 m 標準誘導コイル】

 磁界に対するイミュニティ試験は、製品規格等で引用されることは多くないが、50 Hz/ 60 Hz の電源周波数磁界のイミュニティ試験である IEC 61000-4-8 は、要求されることはある。今回紹介する IEC 61000-4-9 パルス磁界イミュニティ試験及びIEC 61000-4-10 減衰振動波イミュニティ試験は、残念ながら殆ど適用されていないのが現状である。

 しかし電源周波数磁界イミュニティ試験規格 IEC 61000-4-8と共通項が多く、磁界イミュニティ試験を理解するために有用な情報も記載されている。2つの規格とも 1993 年に第 1 版が発行されているが、この第 1版は、あまり親切に記載されていない部分も多く、また難解な部分も多くあるが、今回の改訂でかなり分かり易い規定に整理された。


試験目的

 磁界に対して感受性の高い電子機器に行う試験であり、以前ならブラウン管テレビ、電圧計などの針式のメーター、磁気テープ等の磁気ヘッドなど磁気に影響される電子機器が多くあったが、近年はその対象も少なくなっている。しかし電子機器の電線による配線が存在する限り、磁界結合による影響は少なからずある。これらの磁界イミュニティ試験は、工業地域、発電所、鉄道及び中高電圧の変電所等の近傍に設置される電子機器に対して試験を実施することを想定している。

磁界の発生

 磁界を発生する原理は、電流源から交流若しくはパルス電流を磁界発生コイル(以下誘導コイル)に流すと、その誘導コイルの内側及び外側に磁界が発生する。磁界イミュニティ試験では、電子機器を誘導コイルの内側に投入することで、電子機器全体が磁界に曝される。一番身近な商用電源を用いたのが、電源周波数磁界イ ミュニティ 試 験 IEC 61000-4-8 であり、IEC61000-4-5 の(雷)サージパルスを用いたものが、今回改訂するパルス磁界イミュニティ試験 IEC 61000-4-9、また IEC 61000-4-18 で規定する減衰振動波を用いたものが、減衰振動波磁界イミュニティ試験 IEC61000-4-10 となる。

 磁界の強度(単位は、A/m)は、電流源の電流値と誘導コイルの形状、大きさによって決まる。磁界強度の測定は、専用の磁界センサを用いて誘導コイル内の各点を測定することで実現できる。電源周波数は連続波のため比較的容易に測定が可能であるが、過渡現象である瞬時のサージパルス、減衰振動波の磁界を正確に測定することは難しい。そのため、これらの試験規格の磁界強度は、次の方法で規定している。


続きは『月刊EMC No.341』にて

【月刊EMC No.341 目次情報】

<特集>
◇国内主要EMC試験・校正所一覧
【EMCサイト】
▼東北地方
 テュフズードザクタ(株)/宮城県産業技術総合センター
▼関東地方
 アンリツカスタマーサポート(株)/(株)e・オータマ/(株)イー・エム・シー・ジャパン/(株)イシカワ/
 インターテックジャパン(株)/SGSアールエフ・テクノロジー(株)/NTTアドバンステクノロジ(株)/
 沖エンジニアリング(株)/GEヘルスケア・ジャパン(株)/(株)JEL/(株)図研/生活支援ロボット安全検証センター/
 TDK(株)/テュフズードザクタ(株)/テュフラインランドジャパン(株)/(一財)テレコムエンジニアリングセンター/
 (一財)電気安全環境研究所/(株)トーキンEMCエンジニアリング/(一社)日本船舶品質管理協会/(一財)日本品質保証機構/
 (株)ノイズ研究所/(株)日立情報通信エンジニアリング/(株)富士通ゼネラルイーエムシー研究所/
 富士フイルムテクノプロダクツ(株)
▼中部地方
 (株)e・オータマ/インターテックジャパン(株)/SGSアールエフ・テクノロジー(株)/NECプラットフォームズ(株)/
 オーエムプランニング(株)/北川工業(株)/SELA(株)/双信電機(株)/(株)デンソーEMCエンジニアリングサービス/
(一財)日本品質保証機構/富士通テン(株)
▼近畿地方
 (一社)KEC関西電子工業振興センター/(一財)電気安全環境研究所/(株)トーキンEMCエンジニアリング/
 (一財)日本品質保証機構/ラボテック・インターナショナル(株)
▼中国地方
 (株)広島テクノプラザ/三菱電機エンジニアリング(株)
▼四国地方
 (公財)かがわ産業支援財団(ネクスト香川)
▼九州地方
 (一財)直鞍情報・産業振興協会(ADOX福岡)
【校正サイト】
▼関東地方
 (株)アイピーエス/インターテックジャパン(株)/(株)エスアンドエー/オータマ校正サービス(株)/
 (株)東陽テクニカ/(株)トーキンEMCエンジニアリング/ローデ・シュワルツ・ジャパン(株)
▼近畿地方
 (一財)日本品質保証機構/ラボテック・インターナショナル(株)
▼九州地方
 インターテックジャパン(株)

<特集関連>
・EMC のトレーサビリティーと放射EMI 測定用広帯域アンテナの開発
 (産業技術総合研究所 黒川悟)

<Technology>
・通信機械室に設置される照明器具から発生する過渡妨害波に対する技術的要件の検討
 (NTTネットワーク基盤技術研究所 岡本健、マハムドファーハン、立道英俊、高谷和宏)
・EMC 可視化ソリューション~ノイズと静電気の可視化を実現~
 (NECエンジニアリング(株) 白鳥悦弘、菊池美喜雄、福田壽也、久保勝士)

<規格・規制情報>
・IEC 61000-4-9/10 磁界イミュニティ試験改訂ポイント解説
((株)ノイズ研究所 石田武志)

<実践講座>
・EMC測定・試験のポイント-今更、人に聞けないEMC用語解説⑬
 EMI レシーバの概要
 (ローデ・シュワルツ・ジャパン(株) 吉本修)

詳細はこちら


Copyright(C) Kagakujyoho shuppan Co., Ltd. All rights reserved.
※記事の無断転用を禁じます。