EMC 可視化ソリューション―ノイズと静電気の可視化を実現―(月刊EMC)

2018.6.15 更新
EMC 可視化ソリューション―ノイズと静電気の可視化を実現―(月刊EMC)

【EMI 評価の分類図】

 近年、電子部品の小型化、高速度化、低電圧化に伴い、ノイズ干渉やノイズ輻射などに起因する製品の誤作動が大きな問題となっており、開発者は対応に苦慮しています。製品に搭載される PCB(Printed Circuit Board) は小型化かつ高密度化されているため、開発の後工程にてノイズ源の特定やノイズ抑制対策を行うことは困難であり、対応には莫大な時間と費用が必要になります。本来は、設計の上位工程からシミュレーションなどを実施しノイズ問題に対応することが望ましいのですが、本稿では、NEC エンジニアリング製 EMI 可視化システムおよび ESD可視化システムを用い、様々な開発工程においてもノイズ対策が効率的に行えるかを検証します。

 EMI を計測する方法の一つとして、IEC61967 では6 つの方法が提案されています。本稿ではそのうちの、IEC61967 part6 に記載されている磁界プローブ法 (Magnetic Probe Method) を用いた、EMI 可視化システムと、昨今多発している静電気による不具合問題への対策として、磁界プローブ法を応用し電子機器が受けた静電気の電流経路を可視化するESD(Electro-static Discharge) 可視化システムの有効性についてご紹介します。

 EMI 可視化システムでは、試作した基板と簡易小型暗室(3m 法)での実測データを比較します。また、ESD 可視化システムでは計測結果の妥当性を評価するため、試作した基板での実測とシミュレーション結果を比較します。この比較内容は、当社が開発した ESD 可視化システムが高精度で計測できることを示しています。


磁界プローブ法

 IEC61967 はエミッションを計測する方法で part2~ part6,part8 にて構成されており、磁界プローブ法はこの中の part6 で規定され、2002 年に国際規格になりました。

・IEC61967-1 : General Conditions and Definition
・IEC61967-2 : Measurement of Radiated Emissions, TEM Cell and Wideband TEM cell Method
・IEC61967-3 : Measurement of Radiated Emissions, Surface scan Method
・IEC61967-4 : Measurement of Conducted Emissions, 11/1501 Method
・IEC61967-5 : Measurement of Conducted Emissions, Workbench Faraday Cage Method
・IEC61967-6 : Measurement of Conducted Emissions, Magnetic Probe Method
・IEC61967-8 : Measurement of radiated emissions – IC stripline method

  磁界プローブ法は、伝搬エミッション(CE : Conducted Emissions) を計測する方法で、図に示す分類図のモジュール・PCB レベルから半導体レベルまでの磁界計測が可能です。磁界プローブは、プリアンプを介しスペクトラムアナライザに接続されます。スペクトラムアナライザは PC と接続しており、PC 制御により基板上の特定箇所にある磁界を計測し、電流値に換算して表示することができます。

 計測に用いる磁界プローブは、IEC61967 part6 で規格化されています。磁界プローブは3 層構成となっており、第 1 層と第 3 層は同軸ケーブルの外皮導体と接続されるグランド層、第 2 層が信号層です。磁界プローブは信号層がグランドに挟まる構造であるため、外部からの電界成分をシールドする効果があり、電界成分による測定誤差を低減できます。


続きは『月刊EMC No.341』にて

【月刊EMC No.341 目次情報】

<特集>
◇国内主要EMC試験・校正所一覧
【EMCサイト】
▼東北地方
 テュフズードザクタ(株)/宮城県産業技術総合センター
▼関東地方
 アンリツカスタマーサポート(株)/(株)e・オータマ/(株)イー・エム・シー・ジャパン/(株)イシカワ/
 インターテックジャパン(株)/SGSアールエフ・テクノロジー(株)/NTTアドバンステクノロジ(株)/
 沖エンジニアリング(株)/GEヘルスケア・ジャパン(株)/(株)JEL/(株)図研/生活支援ロボット安全検証センター/
 TDK(株)/テュフズードザクタ(株)/テュフラインランドジャパン(株)/(一財)テレコムエンジニアリングセンター/
 (一財)電気安全環境研究所/(株)トーキンEMCエンジニアリング/(一社)日本船舶品質管理協会/(一財)日本品質保証機構/
 (株)ノイズ研究所/(株)日立情報通信エンジニアリング/(株)富士通ゼネラルイーエムシー研究所/
 富士フイルムテクノプロダクツ(株)
▼中部地方
 (株)e・オータマ/インターテックジャパン(株)/SGSアールエフ・テクノロジー(株)/NECプラットフォームズ(株)/
 オーエムプランニング(株)/北川工業(株)/SELA(株)/双信電機(株)/(株)デンソーEMCエンジニアリングサービス/
(一財)日本品質保証機構/富士通テン(株)
▼近畿地方
 (一社)KEC関西電子工業振興センター/(一財)電気安全環境研究所/(株)トーキンEMCエンジニアリング/
 (一財)日本品質保証機構/ラボテック・インターナショナル(株)
▼中国地方
 (株)広島テクノプラザ/三菱電機エンジニアリング(株)
▼四国地方
 (公財)かがわ産業支援財団(ネクスト香川)
▼九州地方
 (一財)直鞍情報・産業振興協会(ADOX福岡)
【校正サイト】
▼関東地方
 (株)アイピーエス/インターテックジャパン(株)/(株)エスアンドエー/オータマ校正サービス(株)/
 (株)東陽テクニカ/(株)トーキンEMCエンジニアリング/ローデ・シュワルツ・ジャパン(株)
▼近畿地方
 (一財)日本品質保証機構/ラボテック・インターナショナル(株)
▼九州地方
 インターテックジャパン(株)

<特集関連>
・EMC のトレーサビリティーと放射EMI 測定用広帯域アンテナの開発
 (産業技術総合研究所 黒川悟)

<Technology>
・通信機械室に設置される照明器具から発生する過渡妨害波に対する技術的要件の検討
 (NTTネットワーク基盤技術研究所 岡本健、マハムドファーハン、立道英俊、高谷和宏)
・EMC 可視化ソリューション~ノイズと静電気の可視化を実現~
 (NECエンジニアリング(株) 白鳥悦弘、菊池美喜雄、福田壽也、久保勝士)

<規格・規制情報>
・IEC 61000-4-9/10 磁界イミュニティ試験改訂ポイント解説
((株)ノイズ研究所 石田武志)

<実践講座>
・EMC測定・試験のポイント-今更、人に聞けないEMC用語解説⑬
 EMI レシーバの概要
 (ローデ・シュワルツ・ジャパン(株) 吉本修)

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