IoT 時代のモバイル端末に求められるハードウェアセキュリティ(月刊EMC)

2018.7.23 更新
IoT 時代のモバイル端末に求められるハードウェアセキュリティ(月刊EMC)

【電磁波を通じた画面復元を行うセットアップ】

 従来ネットワークに接続されていなかった機器が通信機能を持ち、様々な情報を送受信することで、モノのデータ化やそれに基づく自動化等が進展し、新たな付加価値を生み出す「モノのインターネット(Internet of Things、IoT)」が急速に普及している。IoT が実現する社会では、こうしたネットワークに接続された機器から収集されたデータを基に、産業界・社会インフラ・個人に対する新たなサービスの提供が見込まれており、期待が寄せられている。

 中でも個人向けサービスとしては、快適な住環境の提供をめざしたスマートホームに代表される宅内外の様々なデバイスの「見える化」、「制御」、「最適化・効率改善の自動化」などが挙げられる。そして、こうしたサービスを享受するためのプラットフォームとしては近年普及の目覚ましいスマートホン、タブレットなどのタッチスクリーン端末が中心的な役割を果たすことが予想され、こうしたプラットフォーム上で動作するサービスアプリケーションの開発が進められている。

 一方、サービス利用の中核を担うタッチスクリーン端末が乗っ取られた場合、こうした端末を介して接続されたデバイスの乗っ取りにもなる恐れがあり、「物」と連携する IoT サービスでは、情報漏えいのみならず、物理的被害が発生するリスクがあり、こうした端末の強固なセキュリティ確保が求められている。

 スマートホンやタブレットなどは、従来の端末に比べモビリティが高いことから、私的な空間のみならず第 3 者が存在する公共の空間においても個人的な情報を閲覧・入力する機会が増加しており、従来の対策に加えて、こうした状況下におけるセキュリティの確保について検討を行う必要がある。さらに、タッチスクリーン型の端末は、従来の PC などと異なり、スクリーン上に表示されるキーボード(ソフトウェアキーボード)で入力操作を行うため、画面を盗み見された際の被害が大きい。

 すなわち、入力したキーとその入力先が同一画面に表示されるため、画面を盗み見されるとそれらの情報が同時に知られてしまうことになる。特にソフトウェアキーボードでは、ユーザに通知する目的で押下したキーを強調表示(色の反転やポップアップ)するため、パスワード入力時などの入力した文字が伏せ字になる場合でも、タッチしたキーの情報とその入力先の情報から、何をどこに入力したのかを判別できることから、IoT により提供されるサービスを利用するための各種 Web サービスやアプリケーションへのログイン情報、それらの利用に必要となるオンライン決済時に入力を求められるクレジットカード番号及びセキュリティコードなどが漏えいし、サービスのセキュリティを著しく低下させる可能性がある。

続きは『月刊EMC No.345』にて

【月刊EMC No.345 目次情報】

<特集>
◇これからのEMC~総務省、国土交通省、消費者庁を始め協議会、委員会、研究機関、規格関連等39 団体が執筆~
・総務省 総合通信基盤局 電波部 電波環境課長
 坂中靖志 氏
・総務省 総合通信基盤局 電波部 移動通信課長
 杉野勲 氏
・国土交通省 自動車局 技術政策課
 河野成德 氏
・一般社団法人 国際標準化協議会 会長
 正田英介 氏
・一般社団法人 電波産業会・電磁環境委員会 委員長
 北海道大学名誉教授
 野島俊雄 氏
・CISPRJ 電波雑音委員会委員長  スマートグリッド・コミュニティのEMC問題調査専門委員会委員長
 電磁環境工学情報EMC 編集顧問
 東京都市大学名誉教授
 徳田正満 氏



※本記事は2017年1月のものです。所属等変更がある場合もございます。

<Technology>
・IoT 時代のモバイル端末に求められるハードウェアセキュリティ
 (東北学院大学 林 優一)
・埋め込み型医療機器開発に向けた電磁波適合性EMC 問題
 (東北大学加齢医学研究所非臨床研究推進センター 山家智之、白石泰之、井上雄介、山田昭博)

<規格・規制情報>
・メタリック通信ケーブルのEMC 特性試験方法の概要解説 IEC 62153-4-9 Ed.1.0
 ((株)フジクラ・ダイヤケーブル 小川幸三)

<実践講座>
・規制の法的枠組みと動向 ③
 アジア(中国・韓国・台湾)におけるEMC 規制
 (パナソニック(株) 梶屋俊幸)
・電源ノイズ解析と設計法 ③
 電源ノイズ解析と設計法
 (大阪大学 舟木剛)
・建築設備の安全設計とEMC ⑤
 ビル・工場における接地システム設計の知識
 (関東学院大学 高橋健彦)

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