【中国・韓国・台湾】アジアにおけるEMC規制(月刊EMC)

2018.7.27 更新
【中国・韓国・台湾】アジアにおけるEMC規制(月刊EMC)

【CCC マークと規制分野別識別記号】

 Electromagnetic Compatibility (EMC:電磁両立性)とは、文字通り電磁環境下にある複数の製品が不要な干渉を受けることなく共存できる環境をいい、公益保護の観点から健全な電磁環境を維持するために、製品から放出する電磁波、及び不要な電磁波を受けても悪影響を受けない能力の側面を法的に規制する国が多いことは周知のとおりである。

 これら法的規制を実施する多くの国では国際標準である IEC(国際電気標準会議)の TC77(第 77 専門委員会:EMC を担当)や CISPR(国際無線障害特別委員会)等が作成する規格を採用し、測定条件や限度値が規定されている。EMC に係る技術的な内容については別途その道の専門家に譲るとして、本稿では法的規制及びその適合性評価手続きを中心に、アジア諸国、とりわけ厳格な法的規制を実施している中国・韓国・台湾の昨今の現状を述べて読者の規制対応の一助とする。


共通の EMC 規格

 製品設計に関わる技術者にとって、いずれのEMC 規格が該当国の規制に採用されているのかを知ることが最大の関心事かつ最初のステップである。法的規制であるため国内法令の中で国際基準である IEC/CISPR 規格番号がそのまま記述されることは少なく、固有の国内規格番号体系で表示されるのが一般的である。従って、法令の中で適合すべき基準として参照される EMC 規格がどの国際規格に該当するのかをまず知る必要がある。

 通常は国内規格の序章 (前文) に、「本規格は IEC/CISPR xxxxに従う」 旨の記述があるのでこれを見つけることが肝要である。なお国によっては、或いは一部の機器分野では、国内手続きのために必ずしも国際規格の最新版が採用されているわけではないことに注意する必要があるとともに、その国固有の技術基準上の差異 (National Difference) が存在して国内規格の中で説明されているので、これもあわせて確認しておく必要があろう。

適合性評価

 前項の規格側面の共通性とは別に、法令で規制される適合性評価手法・手続きは中国・韓国・台湾で大きく異なるので、該当製品の円滑かつ迅速な市場展開にあたっては、規制関連文書中の適用分野と適合性評価に関わる要求事項を十分に理解しておく必要がある。

中国

(1)規制の概要  中国の EMC 規制は、製品安全とパッケージで運用される CCC(Chinese Compulsory Certification)と呼ばれる法的強制認証制度に含まれており、電気・電子機器が幅広くカバーされている。その主たる根拠法としては 「中国製品品質法」、「中国標準化法」、「強制的製品認証管理規程」 などがあり、これらの基本法令に基づき各種条例、細則、公告といった法的拘束文書が多数存在する。

続きは『月刊EMC No.345』にて

【月刊EMC No.345 目次情報】

<特集>
◇これからのEMC~総務省、国土交通省、消費者庁を始め協議会、委員会、研究機関、規格関連等39 団体が執筆~
・総務省 総合通信基盤局 電波部 電波環境課長
 坂中靖志 氏
・総務省 総合通信基盤局 電波部 移動通信課長
 杉野勲 氏
・国土交通省 自動車局 技術政策課
 河野成德 氏
・一般社団法人 国際標準化協議会 会長
 正田英介 氏
・一般社団法人 電波産業会・電磁環境委員会 委員長
 北海道大学名誉教授
 野島俊雄 氏
・CISPRJ 電波雑音委員会委員長  スマートグリッド・コミュニティのEMC問題調査専門委員会委員長
 電磁環境工学情報EMC 編集顧問
 東京都市大学名誉教授
 徳田正満 氏



※本記事は2017年1月のものです。所属等変更がある場合もございます。

<Technology>
・IoT 時代のモバイル端末に求められるハードウェアセキュリティ
 (東北学院大学 林 優一)
・埋め込み型医療機器開発に向けた電磁波適合性EMC 問題
 (東北大学加齢医学研究所非臨床研究推進センター 山家智之、白石泰之、井上雄介、山田昭博)

<規格・規制情報>
・メタリック通信ケーブルのEMC 特性試験方法の概要解説 IEC 62153-4-9 Ed.1.0
 ((株)フジクラ・ダイヤケーブル 小川幸三)

<実践講座>
・規制の法的枠組みと動向 ③
 アジア(中国・韓国・台湾)におけるEMC 規制
 (パナソニック(株) 梶屋俊幸)
・電源ノイズ解析と設計法 ③
 電源ノイズ解析と設計法
 (大阪大学 舟木剛)
・建築設備の安全設計とEMC ⑤
 ビル・工場における接地システム設計の知識
 (関東学院大学 高橋健彦)

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