【IEC、CISPR、CE、FCC等】国内外における EMC規格・規制の基礎知識(月刊EMC)

2018.8.23 更新
【IEC、CISPR、CE、FCC等】国内外における EMC規格・規制の基礎知識(月刊EMC)

【電磁環境が TV の受信に影響を及ぼす例】

 電磁環境が TV の受信に影響を及ぼす例を図に示す。外部の電磁環境(人工的:送電線、無線通信、自然現象:雷)や同じ家屋内の家電製品)(パソコン、掃除機等)や人体から発する静電気などが起因となっている。このうち、電気・電子機器から発する電磁波は、意図していないにも関わらず他の機器に障害を与えることがある。

 このような電波障害を起こさないようにすることは、当然、製品を製造・販売するメーカーの責任であるが、メーカー単独では製品から発生する電磁波レベルをどの程度までに抑えなければならないか、またどの程度の電磁波レベルに耐えなければならないかがわからないため、規格によってエミッションの許容値およびイミュニティの試験レベルが定められており、それらの規格を使って、国内外で法令による規制又はメーカーによる自主規制が行われている。

 法令による規制に違反すると、多くの国では罰則が定められており、製品を市場に出したメーカー、あるいは製品を販売した販売業者は多大な対策費用を支払わなければならないばかりか、消費者からの信頼も失うことになる。特に、日本、米国、ドイツ等では定期的な市場監視が行われており、規制当局の指示により市場から製品が抜き取られ、指定された試験機関で試験の結果、規格への不適合があれば公表され、改善を要請される。


EMC 試験の種類

 すでに述べたように、EMC 試験は「エミッション」と「イミュニティ」に大別される。エミッション試験には「伝導性」と「放射性」のものがあり、機器及びケーブル等から発する高周波(国際規格で許容値が規定されているのは 9 kHz ~ 18 GHz)、及び電源周波数の高調波やフリッカ(照明のちらつきの原因となる電源電圧の変動)が評価の対象となる。

 また、イミュニティ試験にも同様に「伝導性」及び「放射性」の高周波・電源周波数及びサージ・バースト状の妨害波を印加して評価するが、さらに「静電気」を印加して評価する試験もある。国内外における EMC 規格の基本となるのは国際規格であるため、まず国際規格を作成する国際標準化組織について説明する。

EMC に関する国際標準化組織

 電気・電子機器から発する電磁波による無線障害の防止に関し、国際的合意によって作成された規格を各国が採用することにより国際貿易を促進することを目的として 1934 年に IEC(International Electrotechnical Commission 国際電気標準会議)の組織内に設立された CISPR(国際無線障害特別委員会)で主としてエミッション規格の制定や改訂作業が行われている。

続きは『月刊EMC No.350』にて


【月刊EMC No.350 目次情報】

<特集>
◇コンポーネントからシステムレベルのESD対策設計、耐性試験と規格動向
・システムレベルESD 試験と対策部品を用いたESD 対策
 (パナソニック(株) 徳永英晃)
・システムESD 試験への対応とイミュニティー試験を考慮した半導体の保護回路設計
 (ルネサスエレクトロニクス(株) 奥島基嗣)
・システムレベルESD 規格の今後と課題
 (((株)ノイズ研究所 石田 武志)
◇熟練者に学ぶEMC 設計・評価技術-基礎から実践まで-
・近傍電磁界プローブを用いたEMC 計測評価技術
 ((株)日立製作所 船戸裕樹)
・ミックスド・ドメイン・オシロスコープを活用した最新EMI 計測技術
 (テクトロニクスRF 鹿取俊介)

<実践講座>
・対策事例に学ぶパワーエレクトロニクスのノイズ対策③
 規格試験適合のための手法III(イミュニティ試験編)
 (双信電機(株) 碓氷哲之)
・EMC測定・試験のポイント-2.EMC測定・試験は何故必要か
 規制の法的枠組みと動向④
 JAB によるEMC 試験所の適合性評価
 ((公財)日本適合性認定協会認定センター 佐々波浩一)
・製品の信頼性を高めるLSI のEMC 設計⑤
 現象別半導体集積回路の電磁両立性検証(1)
 (ローム(株) 稲垣亮介)
・新・回路レベルのEMC 設計【最終回】
 私のEMC 対処法 学問的アプローチの弱点を突く、その対極にある解決方法
 (日本オートマティックコントロール(株) 瀬戸信二)

<New&Now 規格・規制情報>
・国内外におけるEMC 規格・規制の基礎知識
 ((一社)KEC関西電子工業振興センター 正岡賢治)

詳細はこちら


Copyright(C) Kagakujyoho shuppan Co., Ltd. All rights reserved.
※記事の無断転用を禁じます。