【IEC61967-4】半導体 EMI 試験規格とVDE 法解説(月刊EMC)

2018.9.21 更新
【IEC61967-4】半導体 EMI 試験規格とVDE 法解説(月刊EMC)

【VDE(1Ω /150Ω )法測定系】

 近年、車両の電子化にともない、1つの車両に多数の車載機器が搭載されており、半導体・車載機器・車両の各製品において、EMC 規格が存在する。車両の開発期間は長く、EMC 規格未達による車両および車載機器の設計後戻りを避けるために、車載機器メーカから半導体メーカへの EMC 改善要求が強くなってきている。

 著者らは、社内に半導体 EMC評価室を立ち上げ、半導体開発において EMC 評価を行い、半導体の設計にフィードバックする体制を構築した。本稿では、半導体 EMI 試験規格の全体像を述べ、特に半導体 EMI 試験において重要視されている VDE 法 EMI 試験について解説する。

半導体 EMI 試験規格概要

 半導体 EMI 試験規格は、IEC61967 シリーズによって規格化されている。IEC61967-1では、共通項目として、EMI 試験用基板の設計等についての記載がある。伝導 EMI 試験が 3 項目、放射 EMI 試験が 3 項目あり、放射 EMI 試験では、半導体パッケージからの放射ノイズを測定する。

 VDE 法では、電源、信号、GND の伝導ノイズを測定する。WBFC 法では GNDの伝導ノイズを、MP 法では電源、信号の伝導ノイズを測定する。EMI 測定周波数は、ストリップライン法が 150kHz から 3GHz、それ以外の EMI 試験が150kHz から 1GHz である。

 6 項目ある半導体 EMI 試験のなかで最も重要視されている試験は、VDE 法 EMI 試験である。VDE 法EMI 試験は、試験方法が比較的単純であり、測定の再現性が高く、電波暗室などの特別な試験環境を必要とせず試験できるメリットがある。また、VDE 法EMI 試験は、車載機器の放射 EMI 試験と相関があることを確認している。

 すなわち、VDE 法 EMI 試験規格を満足できれば、車載機器の放射 EMI 試験規格を満足できる可能性が高いと言える。このことは、VDE 法 EMI を低減することで車載機器 EMI の低減につながることを示唆している。

VDE(1 Ω /150 Ω ) 法 EMI 試験の概要

 VDE 法 EMI 試験には、11 法と 1501 法の 2 種類の EMI 測定方法がある。本稿では、1501 法について重点的に解説し、11 法については、簡単に説明する。

 VDE(11/1501)法の測定系を図に示す。被測定 IC を実装した試験用基板に DC 電源等を接続し動作させ、試験用基板に設けた測定端子をスペクトラムアナライザに接続し、ノイズを測定する。11 法と 1501 法ではノイズの検出方法が異なる。

 11 法では、IC 動作時の IC GND から PCB GND に流れる電流を 11 にて検出し、501 系の測定器で測定する。16ピンの IC で GND 端子が 4 本ある IC の例である。試験用基板のレイアウトにおいて、IC GND と PCBGND を分ける必要がある。

 IC GND と PCB GND の間に 11 を実装し、491 を介して、基板に SMA コネクタ等を実装し、特性インピーダンス 501 のケーブルを接続し、スペクトラムアナライザにてノイズを測定する。IC のパスコンは、IC 電源ピンと IC GND 間に実装する。

続きは『月刊EMC No.352』にて


【月刊EMC No.352 目次情報】

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 規制の法的枠組みと動向 ⑥
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