世界初、無人航空機に搭載した衝突回避システムの探知性能試験を実施(NEDO)

2019.01.09 更新
世界初、無人航空機に搭載した衝突回避システムの探知性能試験を実施(NEDO)

【今回の模擬飛行のイメージ】

 一般にドローンと呼ばれる小型の無人航空機や、それよりも一回り大きく、より大きなセンサーなどを搭載できる中型の無人航空機は、既に農業分野などで利用が広がり、さらには災害時の物資運搬や遭難者捜索、物流インフラなどの用途が大いに期待され、運用数は増加しています。しかし、無人航空機とドクターヘリなどの有人航空機のニアミスの実例が国内で報告されるなど、衝突回避技術は、安全利用のための喫緊の課題となっています。また、衝突回避技術は、無人航空機の実用化に必要とされる、「目視外飛行」および「第三者上空飛行」の実現に欠かせない技術です。

 このような背景のもと、国立研究開発法人 新エネルギー・産業技術総合開発機構(NEDO)は、物流、インフラ点検、災害対応などの分野で活用できる無人航空機の性能評価基準等の研究開発を進めるとともに、安全に社会実装するためのシステム構築および飛行試験などを実施するプロジェクトを進めています。具体的には、運航管理システムの開発、衝突回避技術の開発、国際標準化活動に取り組んでいます。

 今般、NEDO、株式会社SUBARU、日本無線株式会社、日本アビオニクス株式会社、三菱電機株式会社、株式会社自律制御システム研究所は、福島県と南相馬市の協力のもと、12月10日から14日に、復興工業団地内「福島ロボットテストフィールド」(福島県南相馬市)で、中型の無人航空機に搭載した衝突回避システムの探知性能の確認試験を世界で初めて実施しました。

 本試験では、あらかじめ設計した経路に従って、中型の無人航空機が有人ヘリコプター(空中でホバリングして静止)を避けて、時速40km程度で飛行する、模擬的な衝突回避を行いました。無人航空機には各種センサーや準天頂衛星システム対応受信機などを搭載し、飛行中に適切に対象物(有人ヘリコプター)を探知できるか、飛行中の無人航空機を高精度に測位できるかなど、衝突回避システムの動作を確認することができました。

 来年度は、本成果を踏まえ、向かい合って飛行する有人ヘリコプターに対して、自律的に衝突を回避する無人航空機の飛行試験を行う予定です。

 また、小型の無人航空機については、現状、中型の無人航空機のように多くのセンサー機器類を搭載することができないため、全く同じ衝突回避システムをそのまま利用することができません。そこで、今回、超小型のセンサーや準天頂衛星システム対応受信機などを用いた模擬飛行試験を合わせて実施しました。

 今後、衝突回避技術を確立することで、災害対応や物流などの分野における無人航空機の実用化を推進します。さらに、より小型の無人航空機への機能搭載を見据えた社会実装を推進します。



【新エネルギー・産業技術総合開発機構(NEDO)ニュースリリース(2018年12月14日)より作成】