【ISO/IEC 17025】試験所及び校正機関の能力に関する一般要求事項(月刊EMC)

2019.1.11 更新
【ISO/IEC 17025】試験所及び校正機関の能力に関する一般要求事項(月刊EMC)

 2017 年11 月にISO/IEC 17025「試験所及び校正機関の能力に関する一般要求事項」の第3 版(ISO/IEC 17025:2017、以下「新版」という)が発行されました。JAB の認定試験所もこれに対応して、来年1月からの試験所認定審査はこの新版で審査を受けなければなりません。

 本稿では、主にEMC 試験所を対象に旧版である2005 年版と比較して新版で新たな対応が必要となる主な要求事項について説明します。(新版の日本語訳は一般財団法人日本規格協会発行の新版の対訳版に拠っています。)

公平性についての要求事項

 新版では公平性についての要求事項が追加されました。明確に新たに対応が必要な条項は4.1.4 項です。

 4.1.4 項 試験所・校正機関は、公平性に対するリスクを継続的に特定しなければならない。

 この要求事項を満足させるためには試験所は公平性に対するリスクを記載した文書又は記録を持つ必要があります。それも「継続的に」ですから、年に1回程度は更新する必要があります。具体的にはマネジメントレビューのインプットにも「リスク特定の結果」を入れる必要がありますので、毎年のマネジメントレビューのインプットに公平性に対するリスクを記載しておくとよいでしょう。

 なお、ここで公平性とは新版3.1項で定義されているとおり、客観性があることです。また、客観性とは新版3.1項備考1により利害抵触がないか、又は試験所・校正機関の活動に悪影響が及ぼすことがないよう利害抵触が解決されていることを意味します。

機密保持についての要求事項

 新版では機密保持についての要求事項も厳しくなっています。まず4.2.1 項では、次のとおり規定されています。

 4.2.1 項 試験所・校正機関は、法的に拘束力のあるコミットメントによって、試験所・校正機関活動の実行過程で入手された全ての情報の管理について責任をもたなければならない。

 この要求事項を満足させるためには、試験所は顧客に対して契約書又は誓約書によって機密保持を約束する必要があります。次に4.2.2 項については現在のところ以下の2通りの日本語訳があります。

 日本語訳その1
 第4.2. 2項 試験所・校正機関が機密情報の開示を法律によって義務付けられる場合、又は契約上の取り決めによって認められた場合、関係する顧客又は個人は、法律で禁じられる場合を除き、提供される情報について通知を受けなければならない。

 日本語訳その2
 第4.2.2 項試験所・校正機関が機密情報を公開することを、法律で要求されるか又は契約上のコミットメントで認められた場合、顧客又は関係する個人は、法律によって禁止されない限り、当該情報について知らされなければならない。

続きは『月刊EMC No.369』にて


【月刊EMC No.369 目次情報】

<特集>
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~総務省、国土交通省、消費者庁を始め協議会、委員会、研究機関、規格関連等46団体が執筆~
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<新製品とEMC>
・スマホとつながるアナログ腕時計「エコ・ドライブ Bluetooth」
 (シチズン時計(株))
・無線機器EMC要求 EN 301 489シリーズの解説
 (コンチネンタル・オートモーティブ(株) 橋本直樹)

<New&Now 規格・規制情報>
・ISO/IEC 17025
 最新動向 試験所及び校正機関の能力に関する一般要求事項
 ((公財)日本適合性認定協会(JAB) 佐々波浩一)
・CISPR 25 第4版 部品試験法解説
 高信頼性が求められる自動車とCISPR 25
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<実践講座>
・事例からひもとくEMC設計・対策そして基礎④
 第4章 EMC設計とアンテナ
 (東京理科大学 越地耕二)
・回路網を用いた広帯域PLCの信号伝送特性と漏洩電磁界特性の解析①
 広帯域PLCに関する 回路網を用いた解析法の基礎
 (九州工業大学 桑原伸夫)

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