【CISPR 25】高信頼性が求められる自動車とCISPR 25(月刊EMC)

2019.3.4 更新
【CISPR 25】高信頼性が求められる自動車とCISPR 25(月刊EMC)

 近年、自動車分野におけるEMC を取り巻く環境は、電動化(EV,PHEV 等)やこれに伴う電力供給網との接続、先進運転支援システム等における電波や各種通信の利用等、急速に変化を遂げてきており、尚且つ、今後も大いなる革新が予測されています。自動車のEMC 規格は、車両で行う試験、部品・システムレベルで行う試験に大きく分類され、各々規格化されています。

 車両試験は、CISPR12,ISO11451 シリーズを代表に、エミッション規格、イミュニティー規格が制定されています。但し、充電においては電力供給網に接続する関係上、国連規格UN Regulation No. 10 では、IEC 規格をも引用するようになって来ました。

 部品レベルで行う試験も、車両試験同様に、CISPR25, ISO11452 シリーズの他、車両内部における過渡的な伝導ノイズに対する試験であるISO7637 シリーズを代表に、エミッション、イミュニティー規格が制定されています。エミッション規格であるCISPR25 で妨害を発生する測定対象とするのは、搭載される電気電子機器ですが、妨害を受ける対象を「自動車に搭載される受信機」としている事が、他のCISPR 製品規格とは異なる点です。

 従来は、ラジオ、テレビ、携帯電話や無線機などが主な対象受信機でしたが、近年はスマートキー、タイヤ空気圧モニタ、GPS、ETC、V2X 関連の通信等、様々なシステムが車両に搭載されるようになって来ています。また、Bluetooth、Wi-Fi などが装着され、更に、タブレット端末やゲーム機器などの通信機能を内蔵する機器も車内で利用されるようになってきており、各々が受信機であり、ノイズ発生源となり得る電子機器です。例えば、乗用車であれば、電子機器と受信機のアンテナ(または受信機自身)との距離は数メートル~数センチメートルと至近であり、双方にとって非常に厳しい環境にあります。

 車載受信機保護という観点から、CISPR25 では、車両アンテナを用いる車両試験(主に影響を受ける車載受信機への侵入ノイズの測定)と、部品試験(妨害発生源からのノイズの測定)が定められています。本稿では、特に関心高いと考えられる、部品試験法を中心に解説します。

共通要求事項

◯ALSE に対する一般要求の緩和と性能検証法の追加
 第3 版までは、車両、部品共に、ALSE 床面への電波吸収体の敷設は認められていませんでしたが、第4 版では、部品試験用ALSE の床面への電波吸収体の敷設は、厚さ25mm 以下のフェライトのような平らな物であれば、認められるようになりました。

車両試験に関する変更

◯車両充電モードでの試験法新規追加
 車両アンテナを用いた試験法に、充電モードにおける試験が追加されました。

続きは『月刊EMC No.369』にて


【月刊EMC No.369 目次情報】

<特集>
◇これからのEMC
~総務省、国土交通省、消費者庁を始め協議会、委員会、研究機関、規格関連等46団体が執筆~
 (総務省 電波環境課長 塩崎充博、経済産業省 製品安全課長 原伸幸、他)
◇熱設計技術
・IoTシステムの熱設計と対策技術に使える接触熱抵抗の基礎知識と簡易エクセル解析
 (元熊本大学大学院 富村寿夫)
・今一度「ファン」を知る
 ~現代の電子機器で盲点になっているファンの送風能力の「捉え方」~
 (金沢工業大学 福江高志)

<新製品とEMC>
・スマホとつながるアナログ腕時計「エコ・ドライブ Bluetooth」
 (シチズン時計(株))
・無線機器EMC要求 EN 301 489シリーズの解説
 (コンチネンタル・オートモーティブ(株) 橋本直樹)

<New&Now 規格・規制情報>
・ISO/IEC 17025
 最新動向 試験所及び校正機関の能力に関する一般要求事項
 ((公財)日本適合性認定協会(JAB) 佐々波浩一)
・CISPR 25 第4版 部品試験法解説
 高信頼性が求められる自動車とCISPR 25
 (アイシン精機(株) 前田幸司)

<実践講座>
・事例からひもとくEMC設計・対策そして基礎④
 第4章 EMC設計とアンテナ
 (東京理科大学 越地耕二)
・回路網を用いた広帯域PLCの信号伝送特性と漏洩電磁界特性の解析①
 広帯域PLCに関する 回路網を用いた解析法の基礎
 (九州工業大学 桑原伸夫)

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