【CISPRJ】日本国内における電気製品の電波雑音規制に関する最新動向(月刊EMC)

2019.5.15 更新
【CISPRJ】日本国内における電気製品の電波雑音規制に関する最新動向(月刊EMC)

【技術基準階層化における整合規格体系及び原案作成者例】

 電気用品安全法は、経済産業省が所管する法令で、電気用品による危険及び障害の発生を防止することを目的としている。ここで、「障害」の中には「電波雑音による障害」も含まれるので、我が国では、電気用品安全法によっても電波雑音規制が行われている、ということになる。ただし、電気用品は、各種電気製品のうち政省令で指定された品目を指しているため、すべての電気製品を対象としているわけではない。

 現時点では、電気用品安全法の対象外となっている、パソコン本体・プリンター・直流電源電気製品などのマルチメディア機器の電波雑音に関しては、一般財団法人VCCI協会による自主規制が行われている。最近の動向として、平成29 年12 月1 日に電気用品の技術上の基準を定める省令の解釈が改正されたので、その内容の紹介を中心として、日本国内における電気製品の電波雑音規制について解説する。

電気用品安全法

 電気用品安全法は、「電気用品安全法技術基準体系等見直しに関するアクションプラン」(平成23 年5 月17 日)に基づき、性能規定化された改正技術基準省令が平成25 年7 月1 日に公布され、平成26 年1 月1 日に施行された。経済産業省所管の産業構造審議会消費経済部会(現 保安・消費生活用製品安全分科会)製品安全小委員会により、平成21 年5 月26 日に示された方針に基づき設置された、電気用品の安全に関する技術基準等に係る調査検討会が平成28 年2 月24 日に発行した報告書「将来的な技術基準体系階層化における整合規格の整備について(改訂3.1 版)」によれば、図のように、国の整合規格の採用方針として、JIS があればJIS を採用するが、電波雑音規格のように、JIS を作成する仕組みがないものはJIS 以外の公的民間基準(民間規格)を採用することになっている。このため、民間規格作成団体の一つとして、一般財団法人 VCCI 協会がこの役割を引き受けることになり、平成28 年9 月23 日にVCCI 協会に設置されたCISPRJ 電波雑音委員会の第1 回会合で作業の開始が決定された。

 CISPRJ 電波雑音委員会は、総務省所管の情報通信審議会の一部答申に基づきCISPR 規格に準拠した国際整合規格案を作成する。電気用品調査委員会は、その規格案を審査承認の上、国に対して整合規格としての採用を提案する。

 その提案につき、国が技術審査を行った後に経済産業省の通達によって公開するという手続きを経て正式に電気用品の技術基準解釈として成立することになる。CISPRJ 電波雑音委員会では、国際規格が発行され、総務省所管の情報通信審議会より一部答申されてはいるが、まだ整合規格に採用されていなかった2つの規格から検討を開始した。

続きは『月刊EMC No.373』にて


【月刊EMC No.373 目次情報】

<特集>
◇IoT時代の電磁波セキュリティ-21世紀の社会インフラを電磁波攻撃から守るには-
・電磁的情報漏えいとその防護
 ((元)(独)情報通信研究機構 関口秀紀)
・高高度核爆発による電磁波攻撃脅威とその防護
 (NTT 情報ネットワーク総合研究所 富永哲欣)
・強力電磁波による攻撃脅威とその対策
 ((元)三菱電機(株) 小林正明)

<新製品とEMC>
・無線入力ユニット「GX70SM」
 (横河電機(株))
・デジタル・デバイスのFCC規制への対応
 ((株)e・オータマ 佐藤智典)

<Technology>
・マルチフィジックス解析によるEMC仮想環境の構築
 (日本機械学会認定計算力学技術者上級アナリスト 橋口真宜)
・車載光ネットワークとEMC
 (タイコ エレクトロニクス ジャパン(合) 小林茂)

<New&Now 規格・規制情報>
・IEC/TR 61000-2-5 環境―電磁環境の分類と記述―
 (拓殖大学 澁谷昇、東北学院大学 石上忍)
・日本国内における電気製品の電波雑音規制に関する最新動向
 ((一財)電気安全環境研究所 井上正弘、(一財)VCCI 協会 小田明)

<実践講座>
・事例からひもとくEMC設計・対策そして基礎⑥
 第6章 EMC設計とワイヤレス電力伝送(その2)
 (群馬大学 菊地秀雄)

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