パターンレイアウトの分布定数線路としての電気特性に着目したプリント配線板のEMC設計(月刊EMC)

2019.6.24 更新
パターンレイアウトの分布定数線路としての電気特性に着目したプリント配線板のEMC設計(月刊EMC)

【分布定数線路の等価回路】

 「センシング」、「信号処理」、「通信」などの様々な機能が集約されたIoT 関連機器では小型、低電力、低コストの制約が厳しくなり、従来以上に部品点数の削減や実装の効率化が求められる。プリント配線板の配線パターンを単なるインターコネクションとしてではなく、分布定数線路としての取り扱いやパターン周辺の電磁界の振る舞いを理解することにより、EMC やSI、PI の観点で様々な最適化構造が見えてくる。

 ここでは、配線パターンの高周波特性に着目し、EMC の観点で機能するパターン構造を述べる。本稿の前半では配線を分布定数線路としてみたときの電圧と電流の挙動を説明し、その特徴を紹介する。また後半では、配線パターンの分布定数線路としての特性を利用したEMC 対策、設計手法を述べる。

分布定数線路

 信号配線や電源配線などのプリント配線板上のパターンは波長に対してそのサイズが無視できなくなる高周波に対しては分布定数線路として扱う必要が生ずる。分布定数線路の特徴を理解するために最も重要なことは線路上では電圧や電流が波として伝わることである。本稿ではまず、信号配線パターン(電源供給系パターンを含む)を分布定数線路の観点で捉え、その特徴を見て行くことにする。

 一般に分布定数線路は単位長さ辺りの抵抗R [Ω/m]、インダクタンスL [H/m]、コンダクタンスG [S/m]、キャパシタンスC [F/m] で構成された分布定数線路として扱われる。この線路を伝搬する電圧V と電流I は周波数がf(波長λ)のとき、次式で表現される。

続きは『月刊EMC No.374』にて


【月刊EMC No.374 目次情報】

<特集>
◇サージ防護デバイスの最新標準化動向
・最新のサージ防護デバイス・部品に関わるIEC国際標準と今後の取組み
 ((株)NTT ファシリティーズ 佐藤秀隆)
・太陽光発電システムに適用する直流用SPDの要求性能とその試験方法
 (音羽電機工業(株) 赤穂智章)
・第22部:通信及び信号回線に接続するサージ防護デバイス(SPD)の選定及び適用基準
 (白山商事(株) 西澤滋)
・太陽電池設備に接続するSPDの選定及び適用
 ((株)昭電 垣内健介)
・低圧サージ防護デバイス用金属酸化物バリスタ(MOV)の試験方法
 (音羽電機工業(株) 塚本直之)
・第352部:通信・信号回線に接続するサージアイソレーショントランス(SIT)の選定及び適用基準の規格解説
 ((株)サンコーシヤ 山田康春)

<Technology>
・印刷プロセスで実現可能な有機半導体集積回路と電子ノイズ
 (東京大学 渡邉峻一郎)
・パターンレイアウトの分布定数線路としての電気特性に着目したプリント配線板のEMC設計
 ((株)トーキンEMC エンジニアリング 原田高志)

<New&Now 規格・規制情報>
・生産現場でのEMC試験―試験における留意点―
 ((株)イーエス技研 中西淳)

<新製品とEMC>
・dynabook G シリーズ
 (Dynabook(株))

<実践講座>
・EMC測定・試験のポイント-1.今更、人に聞けないEMC用語解説
 基本・共通用語⑭
 ダイポールアンテナの実際
 ((国研)情報通信研究機構 藤井勝巳)
・回路網を用いた広帯域PLCの信号伝送特性と漏洩電磁界特性の解析③
 電気機器を表す回路網パラメータ決定方法
 (九州工業大学 桑原伸夫)
・電源ノイズ解析と設計法⑧
 DC-DCコンバータ(バックコンバータ)
 (大阪大学 舟木剛)

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