【EMC環境フォーラム】電波と生体安全性(CEND編集部)

2019.10.1 更新
【EMC環境フォーラム】電波と生体安全性(CEND編集部)

[本セッションのチェアパーソン]
㈱NTTドコモ
大西 輝夫 氏

EMC業界で最大の規模を誇る『EMC環境フォーラム』が、11/8(金)に池袋サンシャインにて開催される。
EMC環境フォーラムは、次世代EMC研究会が主催する、本年で25回目を迎える大型フォーラムだ。

本年は10テーマの技術セッションが開催される。
今回はその中の1つ「電波と生体安全性」のセッションを紹介する。


※フォーラムの詳細・お申し込みはこちら

セッションタイトル

電波と生体安全性
― 基本的考え方から国際標準化動向まで―

チェアパーソン

㈱NTTドコモ 大西 輝夫 氏

セッション概要

本セッションでは、電波と生体安全性の基本的な考えから電波ばく露に関する評価方法の国際標準化の最新動向について概説する。最初に、無線通信などに利用される生活環境の電波について、生体へのばく露の安全性を実現するための基本的考え方から実際までを幅広く解説する。次に、低周波から高周波数領域にわたる国際電気標準会議(IEC)および米国電気電子学会(IEEE)によるばく露評価方法の国際標準化動向について概説する。特に2020 年にサービス開始が予定されている第5 世代携帯電話システム(5G)のばく露評価方法、新しく規格化された自動車内の磁界ばく露評価方法の標準化動向について詳しく紹介する。また、IEC およびIEEE 以外に、国際電気通信連合(ITU)においても人体防護に関するガイダンスをITU-T 勧告として提供している。ITU の役割と5G サービスを見すえた標準化活動の動向を概説する。


※フォーラムの詳細・お申し込みはこちら

講演概要

第1講演 電波と生体安全性 ―基本的考え方から実際の評価まで―/北海道大学 野島 俊雄 名誉教授
【概要】
無線通信などに利用される生活環境の電波について、生体へのばく露の安全性を実現するための基本的考え方から実際までを幅広く解説する。電波とX 線は共に電磁波の性質を持つが、後者と違って電波に発がん性などの健康影響はないとされる。この根拠と電磁波の性質をMaxwell の方程式に遡って理解する。また生体影響の懸念があるとする歴史(経験)や最新の動物実験・疫学研究報告例などの正確な評価を示す。

【講演目次】
1. 電波/電磁波の基本
 ・語源,定義,基本的性質
2. ばく露の歴史と経験
 ・自然界の電磁波,歴史上の主な出来事
3. 物理的作用と生体影響
 ・熱作用が基本,電離と非電離,発がん性などが問題ないとする根拠
4. 実験報告の評価と防護指針
 ・代表例の評価,防護法の要点,今後の課題

第2講演 低周波・中間周波電磁界の人体防護に関わるIEC/IEEEの標準化動向/(一財)電力中央研究所 山崎 健一 氏
【概要】
低周波・中間周波電磁界に関わる人体防護の基本として、2010 年12 月に改訂された国際非電離放射線防護委員会(ICNIRP)による低周波ガイドラインが広く参照されており、その適合性評価のための標準的な手法が国際電気標準会議(IEC)を中心に整備されている。また、最近では、欧州各国における職業者ばく露制限の導入に伴い、職業者ばく露に関わる評価方法の標準化や、接触電流評価の評価方法に関するテクニカルレポート発行などの動きがある。本講演では、低周波・中間周波電磁界における人体防護の考え方、電力設備の磁界規制、ならびに自動車を含む様々な電磁界発生源に対する人体ばく露評価手法とその適合性評価のための標準評価法について、最近の動向を解説する。

【講演目次】
・はじめに
・低周波・中間周波電磁界における人体防護の考え方
・IEC/IEEEにおける人体ばく露に関連する低周波・中間周波電磁界の標準評価法の動向
・自動車を含む様々な電磁界発生源に対する人体ばく露評価手法
・職業者ばく露に関わる評価方法の標準化の動向

第3講演 IEC/IEEEにおける電波防護の標準化動向(5Gを中心に)/㈱NTTドコモ 東山 潤司 氏
【概要】
主に第5 世代携帯電話システム(5G)の端末および基地局の電波防護に関するIEC/IEEE の標準化動向について概説する。5G は、従来の周波数帯に加え、評価指標がSAR ではなく電力密度となる6GHz 以上の周波数帯の利用が想定されている。これに伴い、IEC はIEEE と共同で電力密度の評価法の検討を進めている。一方、基地局の評価法は2017 年に第2 版を発行したのに続いて、ケーススタディ集として技術報告書(TR)の第2 版を今年発行している。これらを中心にして高周波に関する標準化動向について概説する。

【講演目次】
・第5世代携帯電話システムの概要
・高周波における人体防護
・IEC/IEEEにおける標準化の最新動向
・端末の評価法
・基地局の評価法

第4講演 ITU-T SG5における電波防護の標準化動向/日本電信電話㈱ 高谷 和宏 氏
【概要】
ITU-T SG5 の標準化活動テーマの1 つに、「ICT 装置が発する電磁界による人体ばく露」がある。ITU-T SG5 は、IEC やIEEE によって標準化された電磁界の「測定方法」や「計算方法」を参照し、WHO やICNIRP の推奨する「ばく露制限値」を、通信事業者の提供するサービス・施設・装置・端末が満足できるようにするための評価方法に関するガイダンスをITU-T 勧告として提供している。また、5G サービスの開始が近づき、5G に関する適切な情報を提供することが、特に、発展途上国の通信事業者から強く求められている。本講演では、電磁防護に関するITU-TSG5 の役割と5G サービスを見すえた標準化活動の動向を概説する。

【講演目次】
・はじめに(ITU-T SG5の概要)
・電磁界による人体ばく露に関連するITU-T勧告
・5Gに関するITU-Tの補足文書
・標準化動向(2019年)
・まとめ

※フォーラムの詳細・お申し込みはこちら


Copyright(C) Kagakujyoho shuppan Co., Ltd. All rights reserved.
※記事の無断転用を禁じます。