【技術基準適合証明の効果】
電波を利用するためには、無線設備などを備えた無線局を開設する必要があります。無線局を開設するには、総務大臣の免許が一般に必要であり、その無線局で使用する無線設備が電波法で定められた技術基準に適合していることを確認するため、免許申請の手続きの際に検査を受けなければなりません。
しかしながら、携帯電話や無線LAN 機器など比較的小規模な無線局に使用するための無線局であって総務省令で定められたもの(特定無線設備)については、事前に電波法に基づく基準認証を受け、総務省令で定められた表示(技適マーク)が付されている場合は、免許申請の手続きに必要とされている検査の省略など無線局の開設に必要な手続きが簡略化される特例措置を受けることができます。
ここでは、この特例措置の適用を受けるために必要な無線設備の基準認証制度の概要について紹介します。
基準認証制度とは、電気通信機器をはじめ、電気用品、医薬品など様々な分野の製品について、消費者の安全を守るという観点や取引の効率化などを目的として遵守すべき技術基準を国が設定し、その製品が技術基準を満たしているかどうかを確認する制度です。
遵守すべき技術基準や認証の手続きは法令で定められており、基準を満たさない製品の流通・使用を事前に防ぐことができる仕組みとなっています。また、基準に適合しない製品が流通したり使用されたりした場合には、改善命令や回収命令等の事後措置が定められているものもあります。
技術基準に適合しない無線設備が使用されると、他の無線通信への混信や妨害等が発生し、重要通信や企業活動、国民の生命・安全等に支障を及ぼす恐れがあります。
そのため、国が遵守すべき技術基準を定め、個々の無線設備が基準に適合していることを法令に基づいて確実に担保することが必要であり、無線設備の基準認証制度は「電波法」において、国の認証制度として制定されています。
さらに、グローバルな市場競争及び流通の促進を目的として、日本と欧州共同体加盟各国、シンガポール及び米国との間で特定の電気通信機器を輸出入する場合は、「特定機器に係る適合性評価手続の結果の外国との相互承認の実施に関する法律(MRA(Mutual Recognition Agreement)法)」に基づき、輸出側の国において行われた基準適合性評価手続きの結果を輸入側の国において受け入れる制度が設けられています。
続きは『月刊EMC No.379』にて
<新製品とEMC>
・プレシジョンパワーアナライザ「WT5000」
(横河計測(株))
・IEC 61326-1:
計測・制御および試験室で使用する電気装置ー電磁両立性(EMC)要求事項 第1部 一般要求事項
((前)拓殖大学 谷由紀夫)
・IEC 61326-2-1 Ed2:
計測・制御及び試験室用の電気装置
ー電磁両立性(EMC)要求ー
Part 2-1:個別要求ーEMC防護が施されていない感受性の高い試験及び測定装置の試験配置、動作条件及び性能評価基準
(三菱電機(株) 中野康嗣)
<特集>
◇IoT時代の無線システムのEMC問題と対策
・無線システムのEMC問題の実際
(NTT 東日本 伊藤秀紀)
・IoT時代の無線環境構築のための周波数選択板(FSS)の設計法と使用法
(NTT ネットワーク基盤技術研究所 鳥海陽平、伊丹豪、加藤潤)
<Technology>
・携帯電話端末近傍の電力密度評価法に関する標準化動向
((株)NTT ドコモ 大西輝夫、(国研)情報通信研究機構 佐々木謙介)
・5Gミリ波ビームフォーミングと電波干渉対策
((株)富士通研究所 清水昌彦)
・超伝導マイクロ波回路の高感度かつ低暗計数(低ノイズ)な光子検出への応用
(東京大学 河野信吾、中村泰信)
・電界結合非接触給電技術を用いた搬送系とEMC
((株)ExH 原川健一)
<New&Now 規格・規制情報>
・無線設備の基準認証制度について
((一財)テレコムエンジニアリングセンター)
・CISPR 35の適用範囲、イミュニティ要求事項及び一般性能判定基準
(電気通信大学産学官連携センター 雨宮不二雄)
<実践講座>
・IEC 62153-4シリーズ概要解説⑧
「アナログ/デジタル通信システム接続機器のEMC特性試験方法」概要解説
((株)フジクラ・ダイヤケーブル 小川幸三)
・熱設計技術⑤
第5章 熱回路網法による熱解析手法
ー新人社員や初心者のための機器の熱設計対策に関する教育的な講義
(富山県立大学 石塚勝)
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