【CISPR 35】付則で規定している機能別性能判定基準(付則A〜付則D)

2019.12.4 更新
【CISPR 35】付則で規定している機能別性能判定基準(付則A〜付則D)

【カラーバー画像の例】

 マルチメディア機器(MME:Multimedia Equipment)のイミュニティ規格であるCISPR 35は、2001 年に当時のCISPR E 小委員会(音声及びテレビジョン放送受信機ならびに関連機器を所掌)とCISPR G 小委員会(情報技術装置を所掌)を統合して設立されたCISPR I 小委員会(放送受信機、マルチメディア機器及びIT 機器を所掌)で、エミッション規格であるCISPR 32 と並行して検討が開始され、一度のステージゼロ及びCISPR 35 初版の発行に向けたFDIS(最終国際規格案)の否決という紆余曲折を経て、検討開始以来15 年の歳月をかけて2016 年8 月に初版が発行された。

 マルチメディア機器の分野は日進月歩が激しいため、CISPR 35 の運用が本格化するとともに、CISPR20 およびCISPR 24 の最新版の修正・改定に向けた検討で先送りされた案件や、Internet of Things(IoT)並びに第5 世代移動通信システム(5G)の本格導入に呼応した新たな検討課題が顕在化してきた。そこで、CISPR I 小委員会(SC-I)のメンテナンスチーム8(MT8:本チームは、これまでCISPR 35 のメンテナンスを担当してきたSC-I の第4 作業班を受け継ぐ形で2017 年10 月のSC-I ウラジオストク会議で設立された)では、CISPR 35 初版の修正に向けた課題を抽出・整理し、これらの課題を担当する幾つかのタスクフォース(TF)を設立して、CISPR 35 初版の修正に向けた検討も進められている。

マルチメディア機器のイミュニティ規格

 CISPR 35 初版の本文では、適用範囲と目的、引用規格、用語の定義と略号、要求事項、イミュニティ要求事項、文書、試験構成、一般性能判定基準、本規格の適合性及び試験の不確かさの各項についての規定等を記述している。

CISPR 35 初版のAnnex(付則)について

 CISPR 35 初版では付則A ~付則Jまでの10 件の付則を規定している。これらの付則のうち、付則A、B、C、D、E、F、G、H はNormative(規定)であり、付則I とJ はInformative(情報)である。

 本稿では、以下に付則A~付則Dのあらましを示し、これらの付則で規定された事項を適用する場合に留意すべきポイント等を述べる。なお各付則の詳細についてはCISPR 35 初版の当該付則を参照されたい。

(1)A.1 概要

 付則A は、一体型アンテナ、外部アンテナまたはケーブルを経由して、アナログまたはデジタル変調された音声やテレビの放送波を受信する機能を有するMME に適用する付則(規定)であり、試験する機能及び試験中の放送受信機の動作モードを規定するとともに、CISPR 35 初版の表1 ~表4 で定義されている試験レベル及びCISPR 35 の「8 一般性能判定基準」で定義している一般性能判定基準との違いを定義している付則である。

続きは『月刊EMC No.380』にて


【月刊EMC No.380 目次情報】

<新製品とEMC>
・プロジェクター「MP-WU8801BJ」
 (マクセル(株))
・EN 55032・EN 55035
 マルチメディア機器のEMC規格動向
 (CISPR I 小委員会 国際幹事 堀和行)

<特集>
◇パワーエレクトロニクス装置とEMC
・電力系統の安定運用に協調する分散電源の制御機能
 ((一財)電気安全環境研究所 篠原裕文)
・無停電電源システム(UPS)の最新技術動向および関連規格
 (東芝三菱電機産業システム(株) 森治義)

<Technology>
・スイッチング電源のノイズ対策の基本
 (岡山大学 梅谷和弘)
・車載向けオペアンプによるノイズ対策
 (ローム(株))
・モータ単体を題材にしたエミッション低減の具体策
 ((株)広島テクノプラザ 佐々木圭太、菅崎英雄)

<New&Now 規格・規制情報>
・CISPR 35が付則で規定している機能別性能判定基準(付則A~付則D)
 (電気通信大学産学官連携センター 雨宮不二雄)

<実践講座>
・電動化とEMC②
 EV、HV車に搭載される車載部品のEMC試験評価方法
 ((株)UL Japan 大水豊)

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