【CISPR35】CISPR35が付則で規定している機能別性能判定基準(付則G)(月刊EMC)

2020.2.6 更新
【CISPR35】CISPR35が付則で規定している機能別性能判定基準(付則G)(月刊EMC)

電気的測定のための基本試験構成例(EUTへ直接接続)

はじめに
 マルチメディア機器のイミュニティ規格であるCISPR 35 は、2001 年に当時のCISPR E 小委員会(音声及びテレビジョン放送受信機ならびに関連機器を所掌)とCISPR G 小委員会(情報技術装置を所掌)を統合して設立されたCISPR I 小委員会(放送受信機、マルチメディア機器及びIT 機器を所掌)で、エミッション規格であるCISPR 32 と並行して検討が開始され、一度のステージゼロ及びCISPR 35 初版の発行に向けたFDIS(最終国際規格案)の否決という紆余曲折を経て、検討開始以来15 年の歳月をかけて2016 年8 月に初版が発行された。
 マルチメディア機器(MME:Multimedia Equipment)の分野は日進月歩が激しいため、CISPR 35 の運用が本格化するとともに、CISPR 20 およびCISPR 24 の最新版の修正・改定に向けた検討で先送りされた案件や、Internet of Things(IoT)並びに第5 世代移動通信システム(5G)の本格導入に呼応した新たな検討課題が顕在化してきた。そこで、CISPR I 小委員会(SC-I)のメンテナンスチーム8(MT8:本チームは、これまでCISPR 35 のメンテナンスを担当してきたSC-I の第4 作業班を受け継ぐ形で2017 年10月のSC-I ウラジオストク会議で設立された)では、CISPR 35 初版の修正に向けた課題を抽出・整理し、これらの課題を担当する幾つかのタスクフォース(TF)を設立して、CISPR 35 初版の修正に向けた検討も進められている。
 本稿では、先に「その1」で解説したCISPR 35 の適用範囲、イミュニティ要求事項及び一般性能判定基準と、「その2」及び「その3」で解説したMMEのイミュニティの性能判定基準を機能単位で規定した付則A ~付則F に引き続き、「その4」として付則G で規定している内容を詳しく紹介し、併せて規定内容を解説する。残りの付則H ~付則J については「その5」として紹介する予定である。
 なお、上述したように、CISPR 35 初版の修正に向けた検討も進められており、これについては「その6 今後の動向」として紹介する予定である。
1.マルチメディア機器のイミュニティ規格  (CISPR 35)の本文について
 CISPR 35 初版の本文では、適用範囲と目的、引用規格、用語の定義と略号、要求事項、イミュニティ要求事項、文書、試験構成、一般性能判定基準、本規格の適合性及び試験の不確かさの各項についての規定等を記述している。
 これらの各項のそれぞれについては、先に本稿の「その1 CISPR 35 の適用範囲、イミュニティ要求事項及び一般性能判定基準」(2019 年11 月発行No.379)で紹介済であり、詳細はそちらを参照されたい。

続きは『月刊EMC No.382』にて


【月刊EMC No.382 目次情報】

<新製品とEMC>
・チルト機能付き電動ベッドフレーム「GR-01F KN-R」
 (フランスベッド(株))
・電気用品安全法技術基準解釈別表第八の概要解説
 ((一財)電気安全環境研究所(JET) 藤倉秀美)

<特集>
◇「基礎講座 EMC設計と シミュレーション」−電磁界シミュレーションの基礎とその応用−
・イントロダクション−EMC設計の基礎−
 (拓殖大学 名誉教授 澁谷昇)
・電磁界シミュレーションの基礎 Sonnetの使い方
 (群馬大学 菊地秀雄)

<Technology>
・パワエレ機器・電源回路における伝導ノイズシミュレーション技術
 (パナソニック㈱ 嶺岸瞳)
・簡易等価回路モデルを活用した車載用インバータの伝導ノイズ解析と対策設計
 (三菱電機㈱ 片桐高大)

<New&Now 規格・規制情報>
・CISPR 35が付則で規定している機能別性能判定基準(付則G)
 (電気通信大学産学官連携センター(前電波利用環境委員会I 作業班主任) 雨宮不二雄)
・電気溶接装置における電磁界の人体ばく露
 (埼玉大学 山根敏)

<Information>
・四半世紀/25年間のEMC環境フォーラムの開催記念表彰
 設計対策技術部門、規制規格部門、フォーラム最多受講者の3部門表彰
 (EMC 環境フォーラム運営委員会)

<実践講座>
・熱設計技術【最終回】
 ペルチェ素子の応用
 ー新人社員や初心者のための機器の熱設計対策に関する教育的な講義
 (富山県立大学 石塚勝)
・EMC測定・試験のポイント−2.EMC測定・試験は何故必要か
 規制の法的枠組みと動向⑫
 米国におけるEMC規制
 (㈱e・オータマ 田路明)
・電動化とEMC③
 電気自動車における給電技術とEMC
 接触式充電からワイヤレス給電、マイクロ波給電まで−上−
 ((元)京都大学 生存圏研究所 横井 行雄)

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