【IEC61000-4-20】TEM 導波管による放射エミッション測定及び放射イミュニティ試験方法等(月刊EMC)

2020.2.14 更新
【IEC61000-4-20】TEM 導波管による放射エミッション測定及び放射イミュニティ試験方法等(月刊EMC)(月刊EMC)

4ポートTEM導波管の動作

 本稿では、TEM 導波管(TEM セル、GTEM セルなど)による放射エミッション測定及び放射イミュニティ試験方法等を規定した基本規格IEC 61000-4-20 について、第3 版への規格改訂の最新動向について述べる。

1.国際規格発行の歴史と動向
 国際規格IEC 61000-4-20の審議母体はIEC SC77B とCISPR/A との合同作業部会(Joint Task Force: JTF)であり、IEC 上の名称はJoint Task Force CISPR/A/SC77B onTEM Waveguides である。審議の主担当は、各版の審議ごとに異なり、第1.0 版[1] ではCISPR/A が主担当、審議文書もCISPR/A の番号が付されていた。一方第1.1 版(第1 版のAmendment)以降はSC77B とCISPR/A の双方よりコンビーナが出され、審議文書はSC77B の番号が付された。
 最初の委員会原案(Committee Draft:CD)から2 番目のCD が発行されるまで約3 年を要している。また投票用委員会原案(Committee Draftfor Vote: CDV)にいたるまでに約6 年、その間4 つのCD を作成している。第1.0 版作成の際のコンビーナは、現ハノーヴァ大学のGarbe 教授である。
 第2 版[2] へのメンテナンスは、第1 版発行後約1年後に始まった。内容は、第1.0 版の附属書B に記述されていた『本規格におけるイミュニティ試験は、電波暗室内における放射イミュニティ試験を規定した規格 IEC 61000-4-3 の代替法である』という記述を削除するものである。この一文の是非を問うだけの改訂であるため、CD の過程を飛ばしてMCR から直接CDV で各国の賛否を問う形となった。本件は、賛成多数(スイス国内委員会のみ反対)で可決した。日本の国内委員会では、第1.0 版作成のときより本主張を行ってきたが、この小改訂でようやく主張が受け入れられた。このときのコンビーナは故・Moehr博士である。
 第2版における主な改訂箇所は、本文5.2 節における有効試験空間における電界均一性検証手順において、全電界測定点における主電界及び二次電界成分の標準偏差を求め、その値が判定条件を満たすかどうかという方法に変わった。従来は、全測定点数の75%以上の測定点(全試験点数が9 点なら7 点以上)で、主電界成分(TEM セルならば垂直方向)のばらつきが0dB ~ 6dB 以内及び二次電界成分(波源進行方向及び水平方向)の主電界成分に対する大きさが6dB 未満を満たすかどうかが判定基準であったのに対し、第2 版では、測定点i における電界強度をEiとすると、Ei が次に示す範囲内に入ることを要求している。

続きは『月刊EMC No.375』にて


【月刊EMC No.375 目次情報】

<新製品とEMC>
・室内用可搬型蓄電システム「POWER YIILE 3(パワーイレ・スリー)」
 (エリーパワー(株))
・CISPR 32クラスB許容値について
 (NTT ネットワーク基盤技術研究所 秋山佳春)

<特集>
◇静電気放電対策:国際規格動向からESD現象測定、保護デバイス評価、ESD対策まで
・静電気放電試験の国際規格IEC 61000-4-2の問題点と最新改正動向
 ((株)ノイズ研究所 石田武志)
・光電界センサ/光電圧プローブによるESD影響の測定
 ((株)精工技研 大沢隆二)
・ESD/EMC対策部品のTLP試験
 (阪和電子工業(株) 澤田真典)
・ESD対策部品の適用
 (パナソニック(株) 徳永英晃)

<Technology>
・電子カーブミラーを用いた道路情報認識システム 5Gを活用した自動運転の展望とEMC
 ((国研)情報通信研究機構(NICT) 石津健太郎、表昌佑、村上誉、児島史秀)
・漏洩磁界の低減 EV/PHEV用ワイヤレス給電のためのEMC対策
 ((一財)電力中央研究所 名雪琢弥)

<New&Now 規格・規制情報>
・IEC 61000-4-20 第3版への改訂の最新動向 TEM導波管による放射エミッション測定及び放射イミュニティ試験方法等
 (東北学院大学 石上忍)
・試験結果のバラつきとESDガンの関連 静電気イミュニティ試験と輻射ノイズ解析実験
 ((株)東陽テクニカ 秋田大地)

<実践講座>
・事例からひもとくEMC設計・対策そして基礎 ⑦
 EMC標準化の意義を考える
 ((株)ノイズ研究所 石田武志)
・パワーエレクトロニクスとノイズ対策 ⑤
 グラウンドに起因するノイズ、コモンモードチョークコイルほか
 (大島研究所 大島正明)

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