電界結合非接触給電技術を用いた搬送系とEMC(月刊EMC)

2020.2.27 更新
電気エネルギー伝送方法(月刊EMC)

【電気エネルギー伝送方法】

1.はじめに
 存在していないから思わないが、あれば当たり前になり、無くてはならないと思われるものがある。すなわち、身近に置ける有軌道搬送システム( 以下、「リニア搬送システム」と言う。)である。
 N ゲージやHO ゲージのおもちゃの電車があるが、これを実用に耐えうる数百W ~数kW 級の電力送電して搭載ロボット等に仕事をさせようとしても、危なくて使用できないことが判る。線路がむき出しで触ると感電するからである。
 後述するが、他の形態のものも含めて身近に置けるリニア搬送システムが存在していないのである。このようなものが有れば、荷物の運搬、監視、介護等いろいろな場面で利用可能になり、工場の生産設備にも利用可能になる。さらに、この様な線路が屋外でも利用可能になれば、町の緑の管理、スマートアグリ、インフラセンシング、ビル外壁点検・清掃等にも使用可能になる。
 さらに、無軌道型の自動的に掃除等を行うロボット、監視や運搬等を行うドローンと組み合わせても利用可能である。これらのロボットをリニア搬送システム上の移動ステーションから、充電、制御、資材供給等が行えれば、その利用範囲は飛躍的に拡大する。
 今回の報告は、まだ見ぬ身近に置けるリニア搬送システムの可能性について議論したい。
 特に、少子高齢化社会において、その必要性が極めて高くなることを最後に説明してゆきたい。

2.非接触給電技術について
(1) 純粋に電磁気的に送電する方法には何があるのか
 送電方法には、超音波を用いる方法もあるが、純粋に電磁気的に送電する方法となると、四方式しかない。
 第一番目の方法は、接触方法があり、コンセントプラグで使用されている。
 第二番目の方法は、磁界結合方法があり、トランスなどに使用されている。
 第四番目の方法は、電磁波で送る方法があり、一部分の技術は電子レンジで使用されている。光による電力伝送は、この中に含めることができる。
 第三番目の方法として、電界結合方式がある。この方法で、商品化の試みがなされているが、現時点では、普及している商品は存在していない。
 これらの技術について、個別に検討してゆく。
(2) 接触方式は何が問題なのか
 旧来より使用され、安価な技術として接触方式がある。しかし、非接触給電が求められるのは、問題があるからである。

続きは『月刊EMC No.379』にて


【月刊EMC No.379 目次情報】

<新製品とEMC>
・プレシジョンパワーアナライザ「WT5000」
 (横河計測(株))
・IEC 61326-1:
 計測・制御および試験室で使用する電気装置ー電磁両立性(EMC)要求事項 第1部 一般要求事項
 ((前)拓殖大学 谷由紀夫)
・IEC 61326-2-1 Ed2:
 計測・制御及び試験室用の電気装置ー電磁両立性(EMC)要求ー
 Part 2-1:個別要求ーEMC防護が施されていない感受性の高い試験及び測定装置の試験配置、動作条件及び性能評価基準
 (三菱電機(株) 中野康嗣)

<特集>
◇IoT時代の無線システムのEMC問題と対策
・無線システムのEMC問題の実際
 (NTT 東日本 伊藤秀紀)
・IoT時代の無線環境構築のための周波数選択板(FSS)の設計法と使用法
 (NTT ネットワーク基盤技術研究所 鳥海陽平、伊丹豪、加藤潤)

<Technology>
・携帯電話端末近傍の電力密度評価法に関する標準化動向
 ((株)NTT ドコモ 大西輝夫、(国研)情報通信研究機構 佐々木謙介)
・5Gミリ波ビームフォーミングと電波干渉対策
 ((株)富士通研究所 清水昌彦)
・超伝導マイクロ波回路の高感度かつ低暗計数(低ノイズ)な光子検出への応用
 (東京大学 河野信吾、中村泰信)
・電界結合非接触給電技術を用いた搬送系とEMC
 ((株)ExH 原川健一)

<New&Now 規格・規制情報>
・無線設備の基準認証制度について
 ((一財)テレコムエンジニアリングセンター)
・CISPR 35の適用範囲、イミュニティ要求事項及び一般性能判定基準
 (電気通信大学産学官連携センター 雨宮不二雄)

<実践講座>
・IEC 62153-4シリーズ概要解説⑧
 「アナログ/デジタル通信システム接続機器のEMC特性試験方法」概要解説
 ((株)フジクラ・ダイヤケーブル 小川幸三)
・熱設計技術⑤
 第5章 熱回路網法による熱解析手法
 ー新人社員や初心者のための機器の熱設計対策に関する教育的な講義
 (富山県立大学 石塚勝)

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