国連規則第10 号(R10)第6版改正について(月刊EMC)

2020.3.3 更新
電気エネルギー伝送方法(月刊EMC)

【車両狭帯域放射限度値(10m 法、平均値検波、帯域幅120kHz)】

1.まえがき
 自動車のEMC に関する国際基準である国連規則第10 号(UN Regulation No.10)(以下「R10」という。)のシリーズ改正が実施され、第6 改訂版(以下「06シリーズ」という。)が10 月15 日に正式発効されたので、EMC に関する技術的な部分を中心に主な改正点について解説する。
 なお、05 シリーズの概要については、月刊EMC2014年11 月号(2018 年10 月号再掲)記事「協定規則第10 号(R10)第5 版改正について」を参照されたい。
 編集部注:両記事とも次の2 点について、2018 年11 月号目次ページに訂正記事が出ているので訂正願いたい。
(1)1 ページ目 左 上から8-9 行目「本誌2014 年1 月号記事」→「本誌2012 年1 月号記事」
(2) 2 ページ目 表2 左欄「附則11」→「附則10」
 この記事ではR10-06 シリーズの改正点の概要についてのみ記載するので、実際にR10 に基づいて型式認証を受ける場合等にはR10 の原文及びR10 から引用されている規格の原文を参照していただきたい。
 なお、国内で走行する自動車に適用される安全・環境基準である道路運送車両の保安基準(以下「保安基準」という。)とR10 とは技術的要件については同等であるが、両者の法体系の違いにより技術的要件以外の部分については若干異なる部分もあり注意が必要である。

2.R10-06 シリーズの主な改正項目
 ここではR10-06 シリーズ改正の主な項目についてリストアップする。なお、◎を付した項目については3 章で解説する。
・適用車種の追加
 R10-06 シリーズでは、農業用・林業用車両(国連における車両の定義では、カテゴリT、R、S)が新たに適用対象となった。
 なお、保安基準では、農業用・林業用車両が含まれる小型特殊自動車、大型特殊自動車はR10 の技術要件ではなく、これまでと同様の国内基準が引き続き適用されるので、詳細は省略する。
◎ 用語の定義の追加(3.1.)
 イミュニティ関連機能に関する定義への項目の追加、充電方式に関する定義、擬似回路網(AN)に関する定義、試験場所に関する定義等が追加された。
・搭載無線機に関する自己宣言の対象車種の見直し自動車メーカーは後付けも含めて搭載可能な無線機に関する情報を公開しなければならないことになっている。
 カテゴリL(国連における車両の定義では、「3 輪以下の車両」となっているが、ごく小さい四輪車両も含まれている)の車両はL6、L7(ごく小さい四輪車両)に限定されることになり、二輪自動車及び三輪自動車では自己宣言は不要となった。また、新たにR10 が適用となった農業用・林業用車両(カテゴリT、R、S)は自己宣言の対象となった。
 搭載無線機に関する自己宣言条項は、保安基準において引き続き適用除外されるので、詳細は省略する。

続きは『月刊EMC No.383』にて


【月刊EMC No.383 目次情報】

<特集>
◇【特集1】主要メーカー&取り扱い企業群61社
 2020年版 高信頼/EMC・熱ソリューション製品一覧
・EMC部品・製品編
・静電気対策関連製品編
・シールド・吸収材編
・試験装置・設備編
・設計ツール編
・熱ソリューション関連製品編

◇【特集2】EMC対策部品の上手な使い方
・フィルタリングに使用する部品選別の勘所と車の入力バッテリーライン
 CISPR25 電圧法対策事例
 (TDK(株) 菊池浩一)
・ESD対策を中心としたEMC対策部品の効果的な使い方
 (パナソニック(株) 野添研治)

<New&Now 規格・規制情報>
・自動車EMC国際基準の改正
 国連規制第10号(R10)第6版改正について
 ((独)自動車技術総合機構 交通安全環境研究所 伊藤紳一郎)
・マルチメディア機器のイミュニティ規格(CISPR 35)の解説と今後の動向(その5)
 CISPR 35が付則で規定している機能別性能判定基準(付則H~付則J)
 (電気通信大学産学官連携センター(前電波利用環境委員会I 作業班主任) 雨宮不二雄)

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