モータ単体を題材にしたエミッション低減の具体策(月刊EMC)

2020.5.18 更新
モータ単体を題材にしたエミッション低減の具体策(月刊EMC)

【 RE 測定時の配置の例】

1.はじめに

 電子 / 電気回路で構成された部品や製品を完成し国内外の市場に出し販売するためには車載向け民生向け問わず EMC 規格をクリアする必要が有ります。基本設計の段階から EMC 対応した回路設計と機構・構造設計をしなければなりません。回路設計者はEMC の当事者ですが機構構造設計者も放射試験、静電気試験などの EMC 試験に耐える設計をしなくてはならず回路面だけの努力だけでは EMC 試験をクリアすることは困難です。現在、技術者は EMC を熟知して設計業務にあたることはあたりまえになっています。今回は回路の例として車載用モータを取り上げます。モータは車載においてはなくてはならないもので有り数多く使用されています。モータのEMC についてもエミッション性能とイミュニティー性能の両方をクリアする必要があります。モータは後述の様にノイズ発生器と呼ばれているだけあって特にエミッションの低減対策においては車載用民生用問わずいつも大変苦労をします。本稿ではモータ単体のエミッション性能をクリアするための各種対策法を実務に軸足を置いて入門者向けに概説したいと思います。今回取り上げるものは車載用モータですので CISPR25 が対象規格です。EMC 試験は単体または複数のモータと制御用の電子回路(CPU 含む場合もある)で構成されたトータルシステムを対象に実施しますが限度値オーバーとなった場合モータ側と電子回路側で切り分けてエミッション低減対策をしなければなりません。限度値オーバーの原因がどちらかの側あるいは両方かも知れませんが、いずれにしても先ずはモータ単品においてエミッションレベルを限度値以下にしておくことが出発点(基本)となります。
 
2.CISPR25 規格について

 CISPR25 は、車載製品から発生する放射エミッションと伝導エミッションの強度を許容値以下とする規格です。
 RE(Radiated Emission)は放射エミッションと呼ばれ、 周波数範囲 0.15 ~ 2500MHzで試験品:DUT(Device Under Test)またはEUT(Equipment Under Test)から放射する不要な電磁波の電界強度(dBμV/m)を計測して測定値が規格内に入るように対策します。

続きは『月刊EMC No.380』にて


【月刊EMC No.380 目次情報】

<特集>
◇パワーエレクトロニクス装置とEMC
・電力系統の安定運用に協調する分散電源の制御機能
 ((一財)電気安全環境研究所(JET)篠原裕文)
・無停電電源システム(UPS)の最新技術動向および関連規格
 (東芝三菱電機産業システム(株)森治義)

<新製品とEMC>
・プロジェクター「MP-WU8801BJ」
 (マクセル(株))
・適用EMC関連規格解説
 EN 55032・EN 55035
 マルチメディア機器のEMC規格動向
 (CISPR I 小委員会 国際幹事 堀和行)

<Technology>
・スイッチングノイズを抑制する配線方法
 スイッチング電源のノイズ対策の基本
 (岡山大学 梅谷和弘)
・自動運転・ADASのシステム誤動作防止
 車載向けオペアンプによるノイズ対策
 (ローム(株))
・車載用モータのEMC
 モータ単体を題材にしたエミッション低減の具体策
 ((株)広島テクノプラザ 佐々木圭太、菅崎英雄)  

<New&Now 規格・規制情報>
・CISPR 35が付則で規定している機能別性能判定基準(付則A~付則D)
 (電気通信大学産学官連携センター 雨宮不二雄)

<実践講座>
・電動化とEMC②
 EV、HV車に搭載される車載部品のEMC試験評価方法
 ((株)UL Japan 大水豊)

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