サージ防護デバイスによる雷害・サージ対策技術(月刊EMC)

2020.5.28 更新
サージ防護デバイスによる雷害・サージ対策技術(月刊EMC)

【 誘導雷 電磁誘導】

1. 雷害の概要
1-1  雷発生の仕組み
 太陽によって地面が温められ、急激な上昇気流が発生することで積乱雲が発生する。上空の冷たい空気で冷やされることで雲の水蒸気が氷の粒へ変化する。氷の粒が大きく成長すると重力で下に落ち、上昇する小さい粒とぶつかり合い摩擦が発生し静電気を帯びてくる。大きい氷の粒はマイナスに帯電し下方に、小さな粒はプラスに帯電し上方に集まる。これによって雲の中は上方がプラス、下方がマイナスとなっていく。電荷が一定量を超えたときに放電され、それが雷となる。

1-2  雷害の種類
  雷害には大きく直撃雷、誘導雷、逆流雷の 3 種類 がある。

(1)直撃雷
 雷雲から直接建物や地面に放電する現象。放電電流は数十 kA ~数百 kA と非常に大きい。建物に落雷した場合は火災の発生、人に落雷した場合は死に至ることがある。

(2)誘導雷
 誘導雷には大きく電磁誘導と静電誘導の 2 種類がある。電磁誘導の場合、建物や樹木などに落雷した際の電磁界の変化により、電源線、信号線などに電磁誘導で発生する高電圧によるもの。2km 先の落雷でも発生し、影響するといわれている。
 静電誘導の場合、雷雲の直下に送電線があると、ケーブルがプラスに帯電し続け、雷雲間や大地間の放電で雷雲のマイナス電荷が減少するとプラス電荷の拘束が解かれ、送電線上を流れることで発生するもの。

(3)逆流雷
 近隣の建物や避雷針、または直接大地に落雷した際、各機器の接地がばらばらだと接地間で電位差が発生し低い方へ電流が逆流する。

2. 雷害対策
 雷害対策は、日本工業規格(JIS)に基づいた各種対策が有効である。本来は専門知識や技能を持った専門家が設計・施工をすることが望ましいが、日本においては法的な制限はなく、誰でもできることになっている。雷害対策で大切なことは、雷保護システム(LPS)による建物自体を直撃雷から守ることと、サージ防護デバイス(SPD)で建物内にある個々の機器を誘導雷サージから守る 2 段構えにすることである。  

続きは『月刊EMC No.381』にて


【月刊EMC No.381 目次情報】

<特集>
◇これからのEMC
~総務省、経済産業省、国土交通省を始め協議会、委員会、研究機関、規格関連等49団体が執筆~

<新製品とEMC>
・スマート家電リモコン「RS-WFIREX4」
 (ラトックシステム(株))
・CISPR 32クラスB許容値について
 (NTT ネットワーク基盤技術研究所 秋山佳春)

<Technology>
・サージ防護デバイスによる雷害・サージ対策技術
 ((株)ジョブル 池端義和)
・電気的ノイズによる通信装置のソフトエラーと対策
 (NTT ネットワークサービスシステム研究所 舩津玄太郎、岩下秀徳、松村和之)

<New&Now 規格・規制情報>
・CISPR 35が付則で規定している機能別性能判定基準(付則E及び付則F)
 (電気通信大学産学官連携センター 雨宮不二雄)

<実践講座>
・医療におけるワイヤレスの導入と電磁環境④
 医療におけるこれからの無線通信利用 RFIDの活用とEMC
 (佐賀大学 花田英輔)
・パワーエレクトロニクスとノイズ対策⑦
 配線のインピーダンス、配線長と波長
 (大島研究所 大島正明)
・熱設計技術⑥
 熱輸送デバイスとその応用
 ー新人社員や初心者のための機器の熱設計対策に関する教育的な講義
 (富山県立大学 石塚勝)

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