高周波利用機器の電波雑音に関する規制【電気用品安全法技術基準の解釈別表第十第2章】(月刊EMC)

2020.8.6 更新
高周波利用機器の電波雑音に関する規制【電気用品安全法技術基準の解釈別表第十第2章】(月刊EMC)

1.はじめに
 電気用品安全法は、電気用品による危険及び障害の発生を防止することを目的として経済産業省が所管する法令である。この目的には「危険の防止」のみならず「障害の防止」も含まれている。「電波雑音による障害」も「障害」の対象となるので、我が国では、電気用品安全法の対象となる品目についてはこの法律に基づいて電波雑音規制が行われているが、その他に、高周波を利用する一部の製品については総務省が所管する電波法施行規則により電波法の規制も併せて受けている。このため、電子レンジや電磁誘導加熱式調理器(炊飯器を含む)などの高周波を利用する製品に係わる規制内容が若干複雑となり、分かりにくくなっているので、本稿ではそのような製品を中心とした電気用品安全法に基づく規制について解説する。

2.電気用品安全法による電波雑音規制の概要
 2-1 技術基準
 平成 25年に公布された電気用品安全法技術基準の性能規定化のための改正により、現行の電波雑音に関する技術基準を定める省令がある。  この省令に定める技術的要件を満たすためには、省令に照らして十分な保安水準の確保が達成できる技術的根拠があり、合理的、客観的な理由を製造事業者または輸入事業者が自らの責任で説明できれば良いとされているが、この解釈を容易にするため「電気用品の技術上の基準を定める省令の解釈」が下記の経済産業省ホームページに公表されている。
http://www.meti.go.jp/policy/consumer/seian/denan/act. html
電気用品の技術上の基準を定める省令の解釈は、ほとんどの電気用品安全法対象品目に対する電波雑音に関する技術基準の解釈は、第十(雑音の強さ)又は第十二(国際規格等に準拠した基準)の(雑音の強さに関する基準)に集約されている。現在のところ、第十と第十二のどちらを使うかは、製造事業者または輸入事業者の選択に任されている。なお、第十と第十二の電気安全と雑音の強さに関する基準を混用することはできない。

続きは『月刊EMC No.387』にて


【月刊EMC No.387 目次情報】

<新製品とEMC>
・Wi-Fi ホームルータ「Aterm WX6000HP」、「Aterm WX3000HP」
 (NECプラットフォームズ(株))
・CISPR 32クラスB許容値について
 (NTT ネットワーク基盤技術研究所 秋山佳春)
・CISPR 35の適用範囲、イミュニティ要求事項及び一般性能判定基準
 (電気通信大学産学官連携センター(前電波利用環境委員会I 作業班主任 雨宮不二雄)

<特集>
◇IoTとEMC
・IoT時代のシステムとEMC
 ―電気学会/調査専門委員会の活動中間報告―
 (愛媛大学 都築伸二)
・パターンレイアウトを利用したプリント配線板のEMC設計
 ―EBG(Electromagnetic Bandgap)構造の無線機器への応用―
 ((株)トーキンEMC エンジニアリング 原田高志)
・日立におけるIoTの取り組みとEMC課題
 ((株)日立製作所 松島清人)

<New&Now 規格・規制情報>
・「JIS C 61000-3-2 2019」の解説
 高調波電流発生限度値の規格解説
 ((株)エヌエフ回路設計ブロック 佐藤公治)
・電気用品安全法技術基準の解釈別表第十第2章
 高周波利用機器の電波雑音に関する規制
 ((一財)電気安全環境研究所 山下洋治)

<実践講座>
・ドローン=飛翔体とEMC①
 ドローンの第三者上空飛行のための電波利用とEMC
 ((一財)総合研究奨励会 日本無人機運行管理コンソーシアム(JUTM) 秋本修、
  (国研)情報通信研究機構(NICT)三浦龍、小野文枝 )
・回路網を用いた広帯域PLCの信号伝送特性と漏洩電磁界特性の解析⑤
 屋内配電線と通信線の結合特性
 (九州工業大学 桑原伸夫)
・EMC測定・試験のポイント-1.今更、人に聞けないEMC用語解説
 基本・共通用語⑯
 電磁環境(electromagnetic environment)
 (東京都市大学 徳田正満)
・熱設計技術①
 IoTシステムの熱課題に対処するための伝熱工学とエクセル解析の基礎
 (元熊本大学大学院 富村寿夫)

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