国際規格CISPR16 シリーズは「無線周波妨害波及びイミュニティ測定装置の技術的条件」としてシリーズが発行されており、このうち「測定装置」に関する、CISPR16-1-1 の第5 版が、2019 年5 月22 日にリリースされました。 CISPR16-1-1 はCISPR 小委員会A(無線妨害測定およびその統計手法を検討)にて作成され、この第5版は技術的な改定を含み、2015 年に発行された第4版の置き換えの位置づけとなります。
今回の改定では、主に次の項目が盛り込まれています。
・ CISPR16-1-1 の再構成として、入力インピーダンス、CW 振幅確度、選択度、帯域幅、周波数同調確度、混変調効果の限度、受信機ノイズおよび内部生成スプリアス信号の限度という共通パラメータの各節が再構成されました。
・レシーバのRMS アベレージおよびアベレージ検波器のパルス応答特性に必要とされる校正および検証に用いられる試験信号について、全ての帯域にパルス変調されたCW 信号の利用が盛り込まれました。
・ガウシアンフィルターの実装および利用について
・FFT ベースのレシーバを含むDiscontinuousdisturbance analyzers( DDAs: 不連続妨害波測定器、ディスターバンスアナライザ)を搭載したレシーバの使用が許容されました。
・レシーバにおける平衡入力が削除され、シールド効果の要求も削除されました。
本稿では、これらの変更や文書上の誤記について説明致します。
1.文書構造の再構成について
文書構造の再構成として、4, 5, 6 ,7 節にそれぞれ共通して記載されていたレシーバの基本特性を削除し新たな節として、「4 Fundamental characteristics ofa measuring receiver( 測定レシーバの基本特性)」を設け、下記の主要パラメータをまとめ記載しました。
-入力インピーダンス
-連続波振幅確度
-相互変調効果の限度
-レシーバノイズおよび内部生成されたスプリアス信号の限度
-周波数同調確度
2.校正用パルス発生器の性能について
レシーバを校正する際に用いられるパルス発生器R&SJ吉本校了.indd 1 2020/06/16 18:00の性能について、従属節 B.1.1 から表B.1「Table B.1 –Pulse generator characteristics」を削除し、パルス発生器の特性に関し適用する特定の検波器の種類の章により規定されたインパルスエリアとパルス繰り返し周波数の範囲のパルスを発生する能力を有する事と変更されました。ここでインパルスエリアは± 0.5 dB 以内でパルス繰り返し周波数は1% 以内である事が要求しています。
続きは『月刊EMC No.389』にて
<特集>
◇2020年版 国内主要EMC試験・校正所一覧
<New&Now 規格・規制情報>
・IEC 61000-6-4 工業環境のエミッション共通規格の勘所
((一財)日本品質保証機構 北山洋平)
<実践講座>
・EMC測定・試験のポイント-3.EMC基本規格で規定された測定・試験法②
周波数30MHz‒1000MHzにおける放射エミッションの測定法
((一社)KEC 関西電子工業振興センター 峯松育弥)
・熱設計技術②
IoTシステムの熱課題に対処するための伝熱工学とエクセル解析の基礎
(元 熊本大学大学院 富村寿夫)
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