家電・電動工具及び類似機器と照明機器【CISPR F 小委員会 上海会議報告】(月刊EMC)

2020.9.17 更新
家電・電動工具及び類似機器と照明機器【CISPR F 小委員会 上海会議報告】(月刊EMC)

2019 年10 月に、IEC General Meeting の開催に合わせてCISPR 関連の会議も開催され、CIS/Fの日本国内委員会代表として参加しましたので、そこでの審議結果を報告します。
 CIS/F は、家電・電動工具及び類似機器と照明機器を所掌するSub-committee です。近年では、デジタル家電と言う言葉も多く使われ、一言で家電と言ってもかなり広範な製品群をイメージしてしまうので、白物家電としておくとより適切に所掌範囲をご理解いただけると思います。類似機器には、自動販売機や電動式おもちゃ、アーケードゲームの様なエンターテイメント機器などが含まれます。
 CIS/F/WG1 は白物家電・電動工具及び類似機器の規格であるCISPR14-1 及びCISPR14-2を、CIS/F/WG2 は照明機器の規格であるCISPR15 及びCISPR TR30 シリーズを所掌しています。
 
 開催場所:上海 EXPO Centre
 - CIS/F プレナリ会議
 開催日時:2019 年10 月21 日PM
 参加者:日本、中国、独、英、蘭、豪、韓国、伊、米他、16 か国から55 名(日本からの参加者は6 名)
 - CIS/F/WG1 会議
 開催日時:2019 年10 月22,23 日
 参加者:日本、中国、独、英、豪、韓国、 IARU 他、10 か国から31 名(日本からの参加者は6 名)
 - CIS/F/WG2 会議
 開催日時:2019 年10 月25 日
 参加者:日本、中国、独、英、蘭、豪、韓国、米他、9 か国から25 名(日本からの参加者は4 名)

1.CISPR14 -1 の審議
  CISPR14-1 は白物家電及び類似機器のエミッション規格です。最新版は2016 年に発行された第6 版で、現在はAmendment 1の審議をFragment 1~5に分割して進めています。
  1ー1 Fragment 1:IPT 機器の導入(CIS/F/767/CDV、CIS/F/786B/RVC)
  2013 年のオタワ会議において日本国内委員会から導入検討開始を提言しました。ワイヤレス充電を含むワイヤレス電力伝送(Wireless Power Transfer:WPT) は、CISPR14-1 の適用範囲となるIH 調理器と同様に電磁誘導(Induction)の技術を利用したものが多く、CISPR14-1 ではまずInduction の技術を用いたものに限定して導入を検討しています。
  Induction のみなので、Inductive Power Transfer(IPT)と呼称しています。IH 調理器と同様の技術を用いる製品であることから、適用する許容値もIH 調理器と同じ値を適用し、製品の使用方法に合わせた動作条件についての審議を重ねています。
  CIS/F/767/CDV の投票結果は反対票が4票投じられたものの、賛成多数で可決されました。反対意見としては、30MHz 以下の磁界許容値はCISPR TR 16-4-4 に従って計算されるべき(もっと低い値とするべき)というものが多く見られました。技術的審議としては、IPT 機器の動作時の入力電力を90% 以上とすることが規定されていますが、使用できる負荷は1つだけと制限されており、負荷1つだけで90% 以上を実現することが難しい場合も想定されるため、その場合は複数の負荷を用いることを許容できることとしました。

続きは『月刊EMC No.389』にて


【月刊EMC No.389 目次情報】

<特集>
◇2020年版 国内主要EMC試験・校正所一覧

<New&Now 規格・規制情報>
・IEC 61000-6-4 工業環境のエミッション共通規格の勘所
 ((一財)日本品質保証機構 北山洋平)

・CISPR F小委員会 上海会議報告
 家電・電動工具及び類似機器と照明機器
 ((一財)電気安全環境研究所 山下洋治)
・CISPR 16-1-1 第5版における変更点
 無線周波妨害波及びイミュニティ測定装置の技術的条件―測定装置―
 (ローデシュワルツジャパン㈱ 吉本修)

<実践講座>
・EMC測定・試験のポイント-3.EMC基本規格で規定された測定・試験法②
 周波数30MHz‒1000MHzにおける放射エミッションの測定法
 ((一社)KEC 関西電子工業振興センター 峯松育弥)
・熱設計技術②
 IoTシステムの熱課題に対処するための伝熱工学とエクセル解析の基礎
 (元 熊本大学大学院 富村寿夫)

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