IoTを推し進めるEdgecrossコンソーシアム設立とEMC問題(月刊EMC)

2017.11.28 更新
IoTを推し進めるEdgecrossコンソーシアム設立とEMC問題(月刊EMC)

IoTを推し進めるEdgecross コンソーシアム設立とEMC 問題
ーIoT 化によって引き起こされるトラブル事例ー

 2017 年11 月6 日に東京都内にて記者発表が行われ、アドバンテック、オムロン、NEC、日本IBM、日本オラクル、三菱電機の6 社が、「Edgecross コンソーシアム」 を設立することで合意したと発表した。「Edgecross コンソーシアム」 はエッジコンピューティングのための基本ソフトウェア「 Edgecross( エッジクロス)」 の開発や仕様策定、普及を推進することを目的としたコンソーシアムとしている。Edgecross は日本政府が提唱する「Society5.0」とSociety 5.0 につながる「 Connected Industries」 を実現するためのエッジコンピューティングの基本ソフトウェア。企業・産業の枠を超え、エッジコンピューティング領域を軸とした新たな付加価値創出を目指す。

 プラットフォームとして既に動いている「 FIELDsystem」「 オープンフォグ」 などと、一体どのように差別化していきグローバルな標準化を目指すのか。それに関して協会関係者は「 競合ではなく、協調が可能だと考えている」 と話す。

 そして以下のように続けた。「Edgecross は、誰でも開発できるとともに、ハードウェアに依存しないオープン性、将来的にFA にとどまらない適用領域の広さ、エッジコンピューティングのみで動作可能なことなどが特徴だ。FIELDsystem とも連携していきたい。」

 Edgecross の基本コンセプトはこうだ。「IoT 活用のキーワードはエッジコンピューティング」 とし、下記を実現可能にする。
① FA のデータを、クラウド・IT システムにあげるべきデータに一次処理をすることで、通信 量の低減やセキュリティの確保
② 生産現場に近い場所でのデータの管理・処理・フィードバックを行うことで、設備保守等のリアルタイム性が必要な業務の効率化

 確かに生産現場での課題として、
・ IoT 化に向けたデータ連携によるシステムの複雑化
・ データ活用したIoT 化を実現するためのデータ整理
が挙げられるが、この他に「 EMC 問題」 が息を潜めることを忘れてはならない。

 IoT 化が進んでいくと現場のオートメーション化が促進され、システムが管理する形になる。 システムが適切に現場を管理している内は問題がないが、ひとたび電磁波による影響でシステムエラーが起こった場合、現場の混乱は明白だ。 完全なIoT 化が実現されるということは、即ちあらゆる機器が通信機器化するということになる。 各機器に伝達される情報がノイズによる影響を受け誤動作に繋がることは既に多くの専門家が懸念しており、EMC 問題が顔をのぞかせ始めている状態だ。 3D プリンターなどでも、受信環境が異なる・軽微な通信エラーが生じると同一製品が製作できないケースが発生する可能性がある。 EMC に関する知見をより一層深めていくことが、問題の解決に役立つことは間違いない。 Edgecross コンソーシアムはこのような問題に対してどう向き合っていくのか、月刊EMC 編集部としては注視していきたい。

続きは月刊EMC No.356で


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