1.TEMセルとは

TEMセルとは、Transverse Electro-Magneticの略で、同軸ケーブルの一部を膨らませ、内部導体を平板とした作りをしており、通常放射エミッション測定や放射イミュニティ試験に用いられます。イミュニティ試験では構造上共振の発生等があり、周波数の上限は〜数百MHz程度です。GHz帯域の試験には後述のG-TEMセルが用いられます。

EUTは通常、TEMセルの底面または中央のセプタム上に置きます。主に車載用の電気電子機器へのTEM波による強電界照射試験に用いられています。また、シールドされた構造であるため、電波暗室やシールドルーム内で行う必要はありません。

図.1 TEMセル
図.1 TEMセル

2.G-TEMセルとは

G-TEM(gigahertz TEM cell)セルは前述のTEMセルが、その形状による周波数限界があるのに対し、より高い周波数帯域での試験が可能になっています。その形状はTEMセルとは異なり、楔形です。TEMセルと同様に放射エミッション測定や放射イミュニティ試験が可能ですが、イミュニティ試験の場合、電波暗室での試験に比べ、G-TEMセル自体がアンテナの役割を果たすため、アンテナを別に用意する必要はなく、アンプも比較的小型のもので十分です。

図.2 G-TEMセル
図.2 G-TEMセル

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3.トライプレートとは

トライプレート(tri-plate)はTEMセルの外部シールドを取り除いたような構造しており、TEMセル同様平行平板間に強電界を発生させ、車載電子機器やそれらに接続されるケーブル/ハーネスの耐性試験に用いられます。シールドされていないため、シールドルーム内での試験になります。SAE J1113-25(北米自動車規格)で要求されています。

図.4 トライプレート
図.3 トライプレート

4.ストリップライン

ストリップライン(stripline)は平行平板の電極を持つ構造であり、この電極間にワイヤーハーネスを設置し強電界を照射することにより、ワイヤーハーネスから供試品に流入するノイズを想定した試験です。TEMセルと異なりシールドされた構造ではないため、シールドルーム内での実施になります。ISO11452-5、ECER10等の規格で要求されています。

図.4 ストリップライン
図.4 ストリップライン

(地独)神奈川県立産業技術総合研究所

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