CISPR:国際無線障害特別委員会設立時期と経緯
ラジオ放送や無線通信が発達してきた1933年になると、無線障害が顕著になってきたため、国際電気標準委員会(IEC)や、他の関連国際機関がパリに集まってこの問題を審議した。その結果、妨害波測定法と許容値について国際的統一を図り、これによって物品や業務の国際交易を容易にするために特別委員会CISPRを作ることとなった。
このような経過から、当初、CISPRはIECから独立しており、その規格はCISPR Publicationとして刊行された。
しかし、CISPRの事務局をIECが担当していたため、1980年代にIECの下部組織となった。最初のCISPR会議は1934年に開催され、妨害波測定器及び、許容値の審議を開始した。その後、第2次世界大戦によって真偽は一時中断したが、様々な規格が順次決定された。
CISPR:国際無線障害特別委員会スコープ(主要部分)
以下に示す無線周波妨害に関する国際的合意を促進することによって、国際貿易を助長する。
1)次のような妨害源から無線受信を保護すること。
- あらゆる種類の電気機器
- 電気的な点火装置を有するシステム
- 電気的な輸送システムを含む電力供給システム
- 工業・科学および医療用高周波装置(情報伝達を目的とする送信機からの放射を除く)
- 音声、及びテレビジョン放送用受信機
- 情報技術装置
2)妨害波の測定法及び測定装置
3)上記1)のシステムからの妨害波の許容値
4)音声及びテレビジョン放送用受信機のイミュニティに関する要求事項及びその測定法
5)CISPRと他のIEC/ISO技術委員会の規格が重複する可能性がある場合、受信機以外の装置類に関して、妨害波及びイミュニティの要求事項について協議すること。
6)電気機器の妨害波抑制に関わる安全規制の影響
詳細は『EMC電磁環境学ハンドブック』をご覧ください。
CISPR(国際無線障害特別委員会)のパブリケーション
および各国の規制
CISPR Publication注)日本語の表題は電技審の答申報告書より引用 | |
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CISPR 10 | CISPRの組織、規則および手続き |
am2 | |
運営委員会 | |
CISPR 11 | 工業用、科学用、医療用(ISM)高周波装置の電磁妨害の許容値および測定法 |
am1 | |
SC-B | (Emi) |
CISPR 12 | 自動車、ボートおよび内燃機関駆動の装置の無線妨害特性の許容値と測定法 |
SC-D | (Emi) |
CISPR 13 | 音声およびテレビジョン放送受信機並びに関連機器の無線妨害波特性の許容値および測定法 |
SC-I(E) | (Emi) |
CISPR 14 | 電磁両立性―家庭用機器、電動工具および類似機器に対する要求事項 |
CISPR 14-1 | パート1 :エミッション-製品分野別規格 |
CISPR 14-2 | パート2 :イミュニティ-製品分野別規格 |
SC-F | |
CISPR 15 | 電気照明用および類似の機器の無線妨害波特性の許容値と測定法 |
SC-F | (Emi) |
CISPR 16 | 無線妨害およびイミュニティ測定装置並びに測定方法の仕様書 |
CISPR 16-1-1 | パート1-1 :無線妨害およびイミュニティ測定装置―測定装置 |
CISPR 16-1-2 | パート1-2 :無線妨害およびイミュニティ測定装置―補助機器―伝導妨害 |
CISPR 16-1-3 | パート1-3 :無線妨害およびイミュニティ測定装置―補助機器―妨害電力 |
CISPR 16-1-4 | パート1-4 :無線妨害およびイミュニティ測定装置―補助機器―放射妨害 |
CISPR 16-1-5 | パート1-5:無線妨害およびイミュニティ測定装置―30MHz~1000MHzのアンテナ校正試験サイト |
CISPR 16-2-1 | パート2-1 :妨害およびイミュニティ測定方法―伝導妨害の測定 |
CISPR 16-2-2 | パート2-2 :妨害およびイミュニティの測定方法―妨害電力の測定 |
CISPR 16-2-3 | パート2-3 :妨害およびイミュニティの測定方法―放射妨害の測定 |
CISPR 16-2-4 | パート2-4 :妨害およびイミュニティの測定方法―イミュニティの測定 |
CISPR/TR 16-2-5 | パート2-5:CISPR技術報告書 |
CISPR/TR 16-3 | パート3:CISPR技術報告書 |
CISPR/TR 16-3 am.1 | 修正票1―パート3:CISPR技術報告書 |
CISPR/TR 16-3 am.2 | 修正票2―パート3:CISPR技術報告書 |
CISPR/TR 16-4-1 | パート4-1 :不確かさ、統計値および限度値モデリング―標準EMC試験の不確かさ |
CISPR 16-4-2 | パート4-2 :不確かさ、統計値および限度値モデリング―EMC測定の不確かさ |
CISPR/TR 16-4-3 | パート4-3:不確かさ、統計値および限度値モデリング―大量生産品のEMC適合性の判定における統計学 |
CISPR/TR 16-4-4 | パート4-4 :不確かさ、統計値および限度値モデリング―不具合報告の統計値および限度値の計算のためのモデル |
CISPR/TR 16-4-5 | パート4-5 :不確かさ、統計値および限度値モデリング―代替試験方法の仕様条件 |
CISPR 17 | 受動的無線妨害波フィルターおよび抑制素子の抑圧特性の測定法 |
SC-A | |
CISPR 18 | 架空送電線および高電圧装置の無線妨害波特性 |
CISPR 18-1 | パート1:現象の解説 パート2 : 許容値を決定するための測定法および手続き |
CISPR 18-2 | |
am1 | パート3 : 電波妨害低減のための実施要領 |
am2 | |
CISPR 18-3 | |
am1 | (Emi) |
SC-B(C) | |
CISPR 19 | 電子レンジからの1GHz 以上の放射測定置換法の用い方 |
SC-B | (Emi) |
CISPR 20 | 音声およびテレビジョン放送受信機並びに関連機器のイミュニティ特性の許容値と測定法 |
SC-I(G) | (Imm) |
CISPR 22 | 情報技術装置の無線妨害波特性の許容値と測定法 |
SC-I(G) | |
CISPR 24 | 情報技術装置のイミュニティ特性に関する許容値と測定法 |
am1 | |
am2 | |
SC-I(G) | (Imm) |
CISPR 25 | 車載受信機保護のための妨害波の推奨限度値および測定法 |
SC-D | |
CISPR/TR 29 | テレビ放送受信機並びに関連機器--イミュニティ特性 -- 客観的な画像評価法 第1.0 版 |
CISPR/TR 31 | 無線業務の特性に関するデータベース第1.0 版 |
CISPR 32(規格検討中) ※ | マルチメディア機器のエミッション規格(仮) |
CISPR 35(規格検討中) ※ | マルチメディア機器のイミュニティ規格(仮) |
- 現在SC-Iで審議、検討中であり、日本語名称は変更となる可能性がある。
より詳細なCISPR情報は『EMC電磁環境学ハンドブック』を参照してください