サージ対策

1.なぜサージ対策が必要か?

極論すれば、保険は必要ないから加入しないという選択肢だってあるのです。それなのに何故多くの機器で、それなりのコストをかけてまでサージ対策部品を搭載しているのでしょうか?

現代社会は、利便性と裏腹に脆さを併せ持っています。そして利便性を支えている電子機器の故障は、社会の広範囲にわたって被害を及ぼす可能性があるからです。

個人で契約する類の保険であれば、未加入であったために損失を被るのは基本的に当事者本人だけです。しかし電子機器でサージ未対策のため不具合が生じると、場合によっては多くの人の生命に危険を及ぼすこともあり得ます。と同時に、直接・間接的に生じる金銭的損失も莫大なものとなり、企業活動に大きな打撃を与えることにもなりかねないのです。

2011年8月に、エンジン制御用コンピュータ(ECU)の静電気保護対策が十分ではなく、最悪は走行中にエンジンが停止し再起動できなくなる恐れがあるとして、中国国内で約3万4千台の乗用車がリコールされました。同社にとっては金銭的な損失もさることながら、ブランドに寄せられていた品質への信頼をも失いかねない大きな危機であったことは否めないと思います。

2.サージとは何か

では、そのような大きな被害をもたらすサージとは一体どのようなものでしょうか?
どのように機器に侵入し、不具合をもたらすのでしょうか?

サージとは、一般的に「瞬間的に発生した異常に高い電圧」と定義されており、発生原因ごとに特徴的な周波数/電圧の分布を示します(図1)。
これらの異常な高電圧がそのまま電子機器に侵入すると、耐圧の低いところで絶縁が破れ異常電流が流れてしまい、機器の誤動作や故障などの不具合が生じます。我々が普段の生活で使用する電子機器のサージによる不具合は、そのほとんどが①誘導雷サージ、あるいは②静電気サージによるものだと考えられます。

図1.サージの種類 図1. サージの種類

3.サージアブソーバによるノイズ対策

ここではサージアブソーバを用いたノイズ対策を記載します。その原理や使い方も触れていきます。

まず、サージとは一般的に「瞬間的に発生した異常に高い電圧」と定義されており、発生原因毎に特徴的な周波数/電圧の分布を示します。これらの異常な高電圧がそのまま電子機器に侵入すると、耐電圧の低いところで絶縁が破れ異常電流が流れてしまい、機器の誤動作や故障などの不具合が生じます。我々の普段の生活で使用する電子機器のサージによる不具合は、そのほとんどが

  • ① 誘電雷サージ
  • ② 静電気サージ

によるものだと考えられています。

図2.サージアブソーバによる基本的な保護方法 図2. サージアブソーバによる基本的な保護方法

最近の半導体素子の著しい進歩と素子あたりの価格の低下に伴い、電子機器、電力機器の半導体化は、機器の小型軽量化、高信頼化を目的として、家電機器、通信機器、産業機器分野など多面的で飛躍的に進んでいる。

しかし、これらに使用される半導体素子ならびに電子回路は、サージ電圧をはじめとする各種の異常電圧に敏感で、弱く、機器の誤動作や破壊の原因になることも少なくなく、機能停止などのトラブルが増加する危険を伴っている。従来、サージアブソーバは、機器の絶縁を破壊から保護するために用いられてきたが、機器の半導体化ならびに異常電圧の高周波化に伴い保護する対象が単なる絶縁物から、半導体ならびにそのシステムへと、また保護レベルも破壊防止、誤動作防止の両面へと移ってきている。

さらに、その適用は、単に機器の信頼性向上だけでなく、機器の保守費用の低減、機器の経済設計の実現、電力品質の向上にも大きく貢献している。

サージアブソーバに必要とされる基本的な特性は、下記の3つである。

  • ① 回路電圧とサージ電圧とを見分け、サージ電圧に対してのみ動作すること
  • ② サージ電圧を吸収した時の制限電圧が被保護機器の耐電圧、誤動作電圧よりも低いこと
  • ③ サージ電圧吸収後、動作を停止し、次のサージ電圧に耐える特性をもつこと

電子機器を誤動作させたり、機能停止させたりする各種の異常電圧を周波数並びに、電圧の両面から見ると、サージ、バリスタ、ノイズパルス、ノイズ、静電気(ESD)、ならびにNEMP(核爆発時の電磁波)などの各分野に分類される。

異常電圧の分野において、サージ分野は誘電雷や開閉サージ等を対象とする分野で、電圧やエネルギーは大きいが、電圧の立上がりが比較的緩やかで、高い周波数成分をあまり含まない領域である。

しかしながら近年、電子機器のデジタル化、高周波数化が進み、同時に電力品質の向上も重要になり、サージアブソーバの対象とすべき異常電圧は、従来のサージ分野から

  • ① ノイズパルス分野、ノイズ分野へと高周波数化、低圧化
  • ② 静電気、NEMP分野へと高周波数化、低圧化
  • ③ 電力系統における雷サージや開閉サージ分野へと高エネルギー化

などそれぞれ拡大している。

ノイズパルス、ノイズ分野は、ラインノイズのように電圧は数ミリボルトから2キロボルト程度で、また電圧の立ち上がりが急峻なため、比較的高い周波数成分を有し、ノイズ対策素子(コンデンサ、インダクタンス等主体)、との共有、小さいが同様に急峻な立ち上がりを持っており、高周波特性の優れた半導体式サージアブソーバの展開分野となっている。NEMP分野は、国内であまり問題視されていないが、諸外国では問題となっている分野で、高周波数、高エネルギーの特殊な分野として注目されている。

Chapter.14